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サウンドその13:「自分のギターが合板か単板か見分けて、それで何か…?」



ギターのある生活 WEBを見ていると、ギター素材の「合板と単板の見分け方」というコンテンツをよく目にします。本サイトの「とりあえず色々」でも「ギターの素材、合板と単板の違い」という記事を書いていますが、これは「ギターの素材」についてのひとつの考え方を書いたもので、結論としては「合板(奇数枚の板を貼り合わせたもの)」と「単板(自然そのままの一枚の板)」にそれほどの差がある訳ではない、と考えていることをまとめています。もう少し正確に言えば、考えて作られた「合板」は「単板」にはないメリットを持つ、ということです。具体的な例で言えば、エレアコですが、これは内部にピックアップを持っていて、生音よりもそのピックアップでアンプに出力したときの音を考えて作られています。ですから、当然ながら似たような構造のエレキギターと同じような問題もあり、その一つが「ハウリング(Howling)」です。これは、ギターから出力されてアンプから出てきた音をギターがまた拾って、ピィィィーといった少々不快な音が出ることです。この原理を上手く使ってピックアップにアンプの音を拾わせて「音のループ」を作り、演奏の効果とするものにエレキギターの「フィードバック奏法」がありますが、様々なギタリストが自分のプレイに取り入れています。ただ、ピックアップを後付けしたアコースティックギターではボディの木材が直接振動を拾うので、まあ、不愉快な音が出るだけで「奏法」なんて言えませんけど。

エレアコのように最初からピックアップを取り付けられているギターは、ハウリング対策として、意図的にボディの振動を抑えるような構造になっているようです。まあ、そのために「生音」だとあまり響かないギターが多いと思います。ボディの振動を抑えるということは「あまり振動しない=響かないボディ」を作るということで、そのために合板を使用したものが多いようです。しかしそれで、「合板は単板に比べて響かない」と考えるのは間違いです。合板はあくまでも「製作上の意図によって計算して作られるもの」であり、「単板は自然のものそのまま」ということです。エレアコは「生音」を犠牲にして(?)、プリアンプによって音を作っていると考えて、間違いないと思います。

ところがアコースティックギターに後付けでピックアップを付けたものだと、どうしても、もともとの「生音」の鳴りがあるので、このハウリングが起きやすくなります。耳が痛くなるような高い音です。それを防ぐのに、弦の音をダイレクトに取るための「ピエゾ素子(振動を電気信号に変える)」をブリッジの下に直接入れたり、「コイル式ピックアップ」をサウンドホールに取り付けて、弦の振動を電気の振動としてアンプに送る方式のものがあったりしますが、ボディに直接貼り付ける「ピエゾタイプ」のものや、「コンデンサーマイクタイプ」のものではハウリングが起こりやすくなります。特に、単板で「良く響くアコースティックギター」の場合は。

てなことで、もし自分のギターに後付けでピックアップを付けて様々な「電気的エフェクト(音の効果)」を楽しんだり、「アンプを使って、バンドで周囲の楽器の音に負けない音を出したい」場合には、サイド&バックが合板で、「響きはちょっと悪いけど頑丈な作り」のアコースティックギターにピックアップを取り付けて楽しまれれば、ある程度ハウリングの不愉快さを感じなくて済むのではないかと思います。

つまり、繰り返しの確認になりますが「合板とは目的によって設計されて作られるもの」であり「単板とは自然のまま(当たり外れさえも)」という考え方ができます。合板の「目的」には「コストを抑える」というものもありますから、比較的低価格のアコースティックギターではこの合板が使われます。確かに「響き」ということでは「合板」よりも「単板」の方が優れてはいますが、故に「合板=チープ」であるということでは決してありません。高級な部類に入る「お値段のいい」ギターの中でも、あえてサイドの剛性を上げてトップが振動する音をバックが捉える効率をよくするために「サイドは合板」とする場合があるようです。まあ、高級といわれるギターには「良い材」である「単板の木」が使われていることが多いのは確かです。その「木の音」で美しいメロディーを奏でるわけですから。

で、前振りが長すぎて、本題がえらい最後になってしまいましたが、「今自分が持っているギターの素材が合板であるのか単板であるのか」見分けるメリットって何なんでしょう? 単板だったら「俺のこのギターは高級」だとか「俺のギターは合板だから安物」だとかってなるんでしょうか? 合板か単板かが分かった時点で「音が変わる」なんて、あり得ないでしょ。まあ、素性が分からずに買ったギターの素材がどっちなのか、って知りたい気持ちは分からないでもないですが、分かったところで今手にしているギターの音は変わりませんよ。新品かもしくは素性のハッキリしているギターの場合は売主に聞けばよほどのことがない限り合板か単板か分かりますけど、そこに何かのメリットがある訳ではありません。そのギターの音はそのギターの音のままです。

まあ、今からギターを買う方であれば、トップだけは単板の方が生音が良いのはほぼ間違いありません。個人的にはサイドはどっちでもいいと思っていますけど、バックも単板の方が良く音を跳ね返してくれると思いますが、外れもあります。自然のものですから。合板の質の良いものの方が当たり外れが無いと考えて良いと思います(経験的に)。しかし、くどいですが、いずれにしても「生音の良い」ギターにピックアップを不適切に後付けすると、ハウリングに襲われます。今やギターの「良い木=良い素材」というのは乱伐が原因でどんどん枯渇していますが、その代替素材としてファイバー系や樹脂系の素材が開発されて、オベーションなどのようにこれまでのアコースティックギターとは違ったタイプのギターが登場しています。「合板」もそれと同じような工夫から生まれた「代替素材」と考えればいいのです。「HPL(=ハイプレッシャーラミネイト)」の技術もそうでしょう。マーチンはそれを取り入れています。「合板と単板の見分け方」ってのは、なんとも不可解なノウハウですなあ。多分、判じにくいと思いますよ。サイド&バックを削ってみる?

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