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サウンドその19:「続 合板と単板について 単板信仰って根強いですね」



ギターのある生活 えー、これは私見ですので誤解を恐れずに言いますが、世の中に趣味と言われるものは「健全(?)」なものから「いかがわしい(?)」ものまでたくさんありますけど、それらを一括りに無理やり表現すれば「ある意味、偏見を楽しむもの」という事ができると思います。所詮、万人と共有できる「価値観」ではなくとも、それに価値を感じる人にとっては堪らない魅力がそこに見い出せるわけですから。その価値は多数決で決まるようなものではありません。と、適当に煙幕を張っておいて、本題に行きます。以前の「自分のギターが合板か単板か見分けて、それで何か…?」にも書いたことですけど、ギターの素材としての「合板と単板」についてです。本サイトの別のカテゴリーの「とりあえず色々」にも「ギターの素材 合板と単板の違い」というタイトルで書きましたが、どうにもこの合板と単板について耳にするご意見にちょっと「異論」があるためです。しつこい?

今や自然の素材が乱伐によって枯渇する中で、新しいギターの素材が様々に生まれています。「オベーション(Ovation)」はその中でもギター史の中でまず最初の画期的な存在でしょう。オベーションはヘリコプターのメーカーであったというのには驚きましたが、そのヘリコプターのプロペラに使っているグラファイトをギターの素材として転用し、更に「エレアコ」というジャンルを確立したのは大きな功績でしょう。まあ、画期的な新しいものは、なんでも最初は保守的な勢力からの反発を受けるものです。オベーションもその立ち上がりは苦労したそうですが、いかんせん、アコースティックでは限界がある大音量を実現し、またその斬新なデザイン(アダマスなどは溜息が出るほど美しい)が一般に受け入れられるのは、必然的な流れでしょう。エレキギターでもアルミ合金を素材とした、東海楽器の"TALBO"などがあり、今や総カーボンのエレアコまであります。伝統的なアコースティックギターの素材である「木」がラミネート加工などで進化していくのもまた必然でしょう。この流れはますます加速すると思います。

まあ、故に「伝統的な作りのもの」が価値も持ち始めるというのは、趣味の世界ではこれまた当然の流れですけど、それは多分に「コレクション」的な価値でしょうけど。あくまでも「プレイヤビリティ」ということで言えば、その本価値は「演奏性」と「音」でしょう。さあ、ここで議論となるのは、新素材は「発展途上」であるとして、伝統的な「木」に関してですが、かつて木が好き勝手に伐採されていた時代には良質な木をギター作りにも、贅沢に使うことができたでしょう。しかし、その「木」が枯渇してしまえば、代替のものが必要になってきます。そこで、"合板=Plywood(プライウッド)"の技術が必要とされてきます。「HPL(=ハイプレッシャーラミネイト)」と呼ばれるものもそうでしょう。そもそも「音響合板」という技術がオーディオの世界ではあって、こちらは「余計な振動、残響を抑える」技術で、これは合板の技術です。ギターの場合は「響かせる」必要がありますので、違う手法かと思いますが、技術的な体系としては同じものでしょう(応用が利く)。

で、なにやら蘊蓄系になってしまいそうなので、身近なところに話を持っていきます。確かに、ギターを作れば売れた、1970年代フォークブームの時代には、コストを抑えて安く大量に市場へ流すために使われた合板があったでしょう。合板には「安く作る」という利点はあります。しかし、そうしたギターは形こそギターですが、全然ギターとしての音を持っていない粗悪品が少なからずあります。その名残で「合板=安物、音が悪い」となっているのでしょう。それは昔のことです。今現在作られているギターの合板は、目的が桁違いに広がって開発されたものです。コストの削減は確かにあるでしょうが、それ以外にも「枯渇した素材のカバー」「エレアコへの対応=より大音量に耐えられるギター作り」「安定した音作り」「新しい音作り」などなど。つまり、合板とは「計算され、目的をもって作られた均質な素材」となるのです。

単板という、自然の木から一枚板として切り出された板は、そのすべてが「均質」とはいきません。つまり、当たり外れがあります。これはギター好きの方から聞いた話ですので裏付けはありませんが、「ギター用の素材として使用できるのは、切り出した板のほんの一部」だそうで、頷けはします。いずれにしても、そう都合よく「ギターの素材」用に木は生えてくれませんから。まあ、だから確かに一部の「良い素材」というものが存在して、コレクターが金に糸目をつけないような「木」で作られた極上のギターが存在する(した)のでしょう。故に、「単板=高級品、音が良い」という評価が定着したのでは。今や、自然の素材はどんどん「レッドブック」に名を連ね、比較的調達しやすいと思っていたマホガニー材にも、もう枯渇の傾向が出ているようです。

この世からギターという楽器が無くなるのならどうでもいいことなのですが、そんなことはあり得ないでしょう。故に、現状の「木という素材の不足」を解決する「技術」が「合板」なのです。実際、自分が持っているギターの中でも、鳴らない「オール単板」のギターはありますし、とんでもなく鳴ってくれる「サイド&バック合板」のギターもあります。確かに「当たり」の単板を使ったギターは昇天ものの響きを奏でてくれますが、まずラッキーとしか言いようがない訳で、より多くのギターファンが「良い音」を楽しめるには、「質の良い合板&設計」が求められると思います。数十年昔の「合板」ギターでも、丁寧に作られたものは、ハカランダやローズ、マホガニーの音を響かせています。

と、なんか妙に真面目ぶった話になってきましたので、この辺にします。まあ、あまりにも「合板=安物」的な安易な言い回しが多いように思いましたので、アラカンオヤジの愚痴とでも思ってください。しかし、日本の「合板技術」は世界でもトップクラスですよ。故に、質の良いギターをリーズナブルな値段で世界の市場に供給する事ができるのです。ありがたいことじゃないですか。それこそ「人の技」です。

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