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サウンドその2:「友人の弾くスリーフィンガーを見た時 神業… あんなのできない…」



ギターのある生活 さて、なんだかんだ言ってもその美しさで手を出したとはいえ、ギターです。お店で店員の方に弾いてもらったその涼やかで、艶のある広がりを持った音は覚えています。で、私もいっちょ前にギターを抱えて弦をかき鳴らしますが、店員さんの音と比べると明らかに「胃腸の具合が悪くなる」のような音…。よく考えてみれば、友人が弾いているのを見てはいたものの、いざ自分が弾くとなると、どうやっていいのか分かりません。当然ですね、コードの一つも知らないのですから。何とか音を探して「ドレミファ♪」程度はタドタドしく弾けますが、まあ、話になりません。このまま美しいオブジェとして、薄汚い四畳半(神田川みたいな世界の部屋、記憶のある方は同年配)に不似合いな女王様として君臨するのか…。本末転倒・シッテンバットウ・倒錯・ナンセンスの世界へと向かうのか…。

なーんてことはある訳ないですよ。やはり、美しいギターから、美しい音色を弾き出したいとは思います。当たり前か…。で、とにかく、なーんにも知らない訳ですから、本屋さんに行って教則本を探すことにしました。ありましたありました。趣味のコーナーに並んでいました。しかし…。「コード教則本」「ギターのゆうべ」「ギターで弾き語りを」などなど「バカでも弾ける」的なタイトルばかりですが、中を見ても何が何やら…。そもそも的なところが分かっていない者に、いきなり「ここはこのコードで」なんていわれても「ヘッ…?」てな感じ。どの本を買って良いものやら、分からない。とはいえ、これで帰ってしまっては状況は変わらない。とりあえず「ギターコード教則本」なる本を、昔、受験時代に参考書を買ったような感覚で選びました。とにかく、コードとやらが分からないと前に進めそうにない、らしい…。

で、家に帰って早速そのコードやらを実践してみます。EとかAとかDとか、それが要はドレミファと同じものということが分かったのは後のこと。とにかく、そこに書かれている表のとおりに弦を抑えてみます。慣れていないので指がプルプル…。一番簡単そうなAとEのコードを抑えて弦をかき鳴らしてみます。膝の皿が転げ落ちそうな情けない音…。色々なコードを抑えてみますが、しまいにはツイスターゲーム(知っている人は同年配)状態…。指が痙攣してくるわ、弦を抑える指先が痛いわで、ここまで苦労しないとギターってのは弾けないのか…、ってもうすでに戦意喪失状態。ギターを買ってはみたものの、妙なる調べを弾きこなすなんぞは遥か先も先、霞にかかって全く見えません。五里霧中とはこのことでしょう…。

数日ギターと格闘しますが、白旗が上がりそうです。指は痛いし、思い通りに動かないし…。多分、自分には楽器を演奏する才能なんてないのか…、と思い始めていた矢先、大学の友人がフラリと私のアパートを訪ねてきました。まあ、別になんか用事がある訳でもなく、暇なだけでしょう。私も講義をサボってギターの練習(?)ですから。当時、私の住んでいたアパートは大学から比較的近い場所にありましたので、よく、講義サボリのタムロ部屋にされました。

その友人は、大学の同級生としては比較的付き合いのある方でした。その頃はバイト(新聞配達)の仲間の方との付き合いが多く、同じ大学の学部といってもあまり付き合いはなかったですね。その友人が無遠慮に部屋に入ってきて、私のギターを見るなり「お、何や、そのカッコええギターは!(関西人です)」。と、嫌がる私からギターを取り上げ、おもむろにチューニングを始めます。「なんやこれ、チューニング、ガタガタやんか」といって音叉をキーンと鳴らしてチューニングを始めます。それをちょっとムッとして見ている私。実は私、音叉から出る音がよく分からないのです。音痴とは思いたくないのですが…。友人がハーモニクス(倍音)を慣れた手つきで鳴らしながらギターをチューニングします。悔しいけどその姿は、カッコいい…。

この友人がギターを弾けるなんて知りませんでしたけど、その無造作に弾き始めた曲に、たまげてしまいました。弦を抑える指も、弦を弾く指もなんと滑らかに動くのか…。そして、その音の玄妙さ(年寄り臭い表現…)。呆けた様にその演奏を眺めていました。正直言って、自分の彼女が他の男と楽しそうにしているのを目撃してしまったような気分です。悔しい…。しかし、ギターって、やっぱカッコいいわ…。なんて思いながら友人の指先の動きを見つめていました。今思えば何のことはないスリーフィンガー奏法なんですが、その時は「神業」に見えました。友人が、ギターを弾き終えて一言。「ムッチャええギターやないか。よお、こんなええもん買うたなあ」。その一言にはちょっと優越感をくすぐられましたが、答えようがありません。「まあ、ね」。そして、次の言葉が私の心臓をえぐりました。「チューニングもでけんようなもんが、こんなええギターこうて、猫に小判やで」。「豚に真珠」ともいいますね、ハイ…。

それからの私は、悔しさで鬼になりました。が、鬼になったところで、すぐにギターが上手くなるわけではありません。ただ、気持ちが鬼になっただけです。その友人の言葉が耳に残っていました。「とにかく、必死になって何回も何回も練習してりゃ、弾けるようになるよ」。確かに。イヤな奴ではありますが、それは正しい。それからは近所迷惑も顧みず、毎日、ギターをかき鳴らし、極めて前衛的な音を周辺にまき散らしていました。スリーフィンガーをマスターするまでは、不退転!

ギターのある生活へ




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