木の音 人の技 トップタイトル

サウンドその25:「アメリカ南部から北部へ ブルース 現代音楽のカンブリア紀」



ギターのある生活 私がブルース好きであることはあちこちに書きましたが、ギターをプレイする方はそのほとんどがブルースの洗礼を受けているのではないでしょうか。ギターを弾くようになって、レッド・チェッペリンのライブ映画を見てブッとんだのがキッカケで、自分を驚かした音とリズムを求めて、遥かアメリカ南部のミシシッピー・デルタに到達し、ロバート・ジョンソンに行き着いたところで、もうすでに音楽的嗜好はブルース一辺倒になっていました。まあ、世代的にはグラムロック全盛の時代で、T-rex(マーク・ボラン)、デヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージック、クイーン等々。ですからそんな中で「何? ブルース?」って世代だったのですけど、夜中に酒を飲みながら、ロバート・ジョンソンのアルバムに聞き入っておりました。

多分、当時、ロバート・ジョンソンを聞かせても10人のうち、殆どが「何、これ?」って反応でしょうね。まあ、1人でも、「お、いいね」なんていう奇特な奴がいれば、ってなところでしょう。その辺りのブルース・ミュージシャンたちに関しては「とりあえず色々」の「ギターを弾くなら、一度はブルースを」の中に書きましたので、興味がおありの方はご覧ください。とはいえ、あまりにディープにブルースのことを書くと、本サイトが「ブルース・サイト」になってしまいそうなので、ほんのサワリ程度しか書いていませんが。ここで書きたかったのはブルースの歴史といった体系的な事ではなく、知れば知るほどこのブルースというのは「どうやって生まれたのか…?」という疑問です。このブルースから生まれた音楽的な要素は、現代音楽のあらゆるスタイルの中でその土台となっていると言って、全く過言ではないでしょう。

ブルースには「デルタ・ブルース」「テキサス・ブルース」「シカゴ・ブルース」、更には「モダン・ブルース」だの「ブリティッシュ・ブルース」だのとありますが、「クロスオーバー・ブルース」とやらにまでなると訳が分からなくなりますので、ブルースという音楽形態が洗練されていく過程での「ミシシッピー・デルタ、テキサス(南部)」から「シカゴ、デトロイト(北部)」への流れを、できるだけシンプルに書いてみたいと思います。とはいえ、極めて個人的な好みが入るのは致し方ないので、ご容赦。ブルースの原点を探ろうとすればやはり「ミシシッピー・デルタ地域」で醸成された「デルタ・ブルース」が私にとっては最上流なのです。そこには神様と呼ばれるロバート・ジョンソンが鎮座していました。ブルース独特の「シャッフルのリズム」「引きずるようなウォーキング・ベース」「ブルーノート・スケール」「スリーコードでのブルース進行」等々、色々な説はあるのですが、やはり「デルタ・ブルース」の持つリズムや奏法がブルースの源流ではないかと思います。

ですが、ここに同じ南部でもテキサスに私が好きなオッサンがいるのです。その名はライトニング・ホプキンス。まあ、人相の悪いオッサンですが、そのギター奏法は「ブルースの王道」と言いたくなるような"Key in E"のノリノリ・ブルース! それほどに複雑な奏法を駆使しているわけでもないのですが、とにかくいいのです。ただ、彼は偏屈(失礼)なのか、南部を動こうとせず、他のブルースメンが北部のシカゴやデトロイトを目指して、成功を収めようとするのには目もくれず、南部中心に活動していたそうです。同じくテキサスのジョン・リー・フッカーはデトロイトで名を上げます。彼の"Boom Boom"はおそらく殆どの人が一度は聞いたことがある名曲だと思います。余談ですが、ローリングストーンズのキース・リチャーズは彼の大ファンです。ブルースは都会の空気の中で洗練され、やがてエレキギターを手にして、マディウォーターやフレディー・キング、アルバート・キング、B・B・キング、オーティ・スラッシュなどの大御所を生み、さらに様々なキラ星を生んでいきます。

話があまりに自分好みな方に行きそうなので、ちょっと一休み…。…………で、書きたかったのは、先ほどの「ブルースはどうやって生まれたのか」、って事なんです。その源流が「デルタ・ブルース」と言っても、それは現場を抑えただけで犯人までは分かりません(表現が幼稚…)。ロバート・ジョンソン以前にも何人かのブルースメンがいたのですが、いかんせん、音源など、諸々の記録が残っていません。ロバート・ジョンソンだって昔は「写真が一枚も残っていない」と言われていたのです。今は、見つかっていますけど。彼がブルースに関しての神様的存在であることは事実ですが、そこまでに連綿と続く「音楽の大進化」、奴隷階級であったアフロ・アメリカンたちの音楽的「大カンブリア紀」がよく分からないのです。ちなみに「大カンブリア紀」とは、地球上の生物が現代に通じるすべての「門(ボディプラン:分類上の、生物の基本的な構造)」を開いた、5億4,200万年前から5億3,000万年前に起こった、「生命の爆発的進化」です。それと同じようなことが起こって、ブルースという「最強の現代音楽の祖」を作り上げたのだと思っています。

それが、ギター1本の上で起きたのです。これは想像するしかありませんが、アメリカに連れてこられたアフリカの血が、長い奴隷という束縛から解放されて、その独特の音楽を表現するのにギターという身近な楽器を手にして、音を奏でながら踊り始めたところから生まれたのだと思います。多くのブルースメンがギターを手にして北部の都会を目指し、パーラーでブルースを演奏してはその日の糧を得、厳しい競争の中であの手この手の試行錯誤を続ける中から、まさにブルースのコアなるものが生まれてきたのではないでしょうか。決して恵まれていない人々の生活の中で奏でられる音楽は、その日の憂さを忘れさせ、そのリズムに身を心地よく委ねられるものでなければならない筈です。簡単な事ではありませんが、ブルースメンたちはギター1本でそれに挑んだのです。自分たちの明日のためにも。

ブルースとは"Blues"であり、"Blue"とは決して"Happy"ではありませんが、それを忘れさせるほどの音楽を生み出さなければならなかったのです。ギター1本で。ブルースはパーラー(酒場)でのダンス・ミュージックであり、多くの人を「ノリノリ」にしなければなりません。しかも、誰もが腹の中に「憂さ"Blue"」を抱えて酒場に集まってくるのです。そんな人たちに一時の"Happy"を提供するためにブルースは進化を続け、やがてはロバート・ジョンソンや、私の好きなライトニング・ホプキンスのギターからあのリズムと音が流れ始めたのです。そして、あらゆる現代音楽につながる「門:ボディプラン」が開いたのです。

ハイ、具体性など殆どない記事となってしまいました。が、「いいのです!」(何が…)。勢いで書くことも必要なのです。その勢いこそがパッションであり、あのブルースを生んだのです! と、強引に締めたところで、電池切れです。 

ギターのある生活へ




■これからギターを始められる方のご参考にでもなれば。
これからギターを始める方に バナー

【商品検索】

↑「すべて表示」をクリックするとAmazon.co.jpの検索結果一覧に移動します。

■サイトポリシー ■プロフィール ■お問い合わせ
ページトップへ戻る

Design by Megapx / Template by s-hoshino.com
Copyright(C) Ureagnak All Rights Reserved.