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サウンドその5:「誰しもが必ず味わう苦痛… セーハ こんなのできねえ…」



ギターのある生活 弦を抑える指先の痛みからも解放され、それなりに3フレット以内の「安全地帯」では比較的スムーズにコードチェンジができるようになり、これまたそれなりにアルペジオ奏法、スリーフィンガー奏法ができるようになり、ギターの音を楽しめるようになってきました。サイモン&ガーファンクルの曲も「スカボローフェア」と「4月になれば彼女は」の冒頭は弾けるようになり、こりゃけっこうギター上手くなれるんじゃないかな、なんて思い始めていたころ、そこに大きな試練、というか壁というか、穴というか、苦痛が待っていたのです。それは「セーハ」…。「バレー」や「ブリッジ(多分…)」とも呼ばれていたと思いますが、一本の指で複数の弦を押さえるという力技で、まず最初に立ちはだかるのは「F」です…。コードのダイヤグラム(各弦のどこを抑えるか表記してあるもの)を見た時、1フレットに太い線が描かれています。他のは丸い点なのに…。えっ…?

そうなんです。そこを人差し指一本でグワシッと抑えなければならないのです。何と…。そんな力技のコードがあるとは…。試しに押さえてみます。人差し指が苦しい…。で、弦を弾いてみます。ポコペケプン…。見事に全音ミュート(消音)がかかった間抜けな音が奏でられます。押さえている左手の人差し指が痙攣を始めました。もう、無理です…。エーッ! こんなの、人間ができるのかよぉ! 音なんて出ねえじゃねえか! と騒ぎたい位に「理不尽」なコードフォームに憤ってしまいます。何度トライしてみても、ギターから出てくる音は、ポコペケプン…。セーハしている左手の人差し指は痙攣してプルプルプル…。やはり無理です、こんなのは…。人間には不可能です。

しかし、そのコードフォームは存在しているのです。ということは、それをスッと押さえられる人が存在するということです。昔、バック転をしている友人を見て、神業に見えたことを思い出します。まあ、スリーフィンガーも最初は神業に見えましたが。バック転も練習しているとできるようになりました。ということは、とにかく練習すればセーハも制覇できる(軽くオヤジギャグをかまして)のではなかろうか、と考えます。しかし、数日頑張りましたが、どうにもうまくいく兆候が見られません。ましてや、このフォームにパッとチェンジしていくなんて、とても不可能に思えます。参った…。このような理不尽な試練が待っているとは…。おそらくこの時点で、ギターを弾く人は数十分の一に減ってしまうのではないでしょうか…。

で、その頃はフォークソングなんかをコードで弾いていたのですが、Fが出てくる曲は避けていました。何となくコード進行というものが分かってきて、要はキーになるコードに対してスリーコードが存在するということです。キーがDだとスリーコードは「D、G、A」、キーがEだとスリーコードは「E、A、B」ってな感じで、このスリーコードで簡単な曲なら弾けてしまえる、と。しかし、Cがキーになると「C、F、G」となり、あの忌まわしいFが出てきます。Fが出てくる曲は避けてしまいますが…、私も男です(関係ないか…)。逃げ回ってばかりでは、仕方ないではないか! 何としてでも「バカの壁」、じゃなくて「Fの壁」を乗り越えてみせましょう! (って、黙って早くやれよ、ってか…)。

ちなみ、このスリーコードが「ブルース・コード」であるということは後々になって知りましたが、なるほど、この進行で曲ができるわけです。昔のフォークソングなんて、同じスリーコードで何曲も作るから似たような曲に聞こえるのです。まあ、そう単純に言えるものでもないのですが、その原点がブルースであるのはまたいずれの話として、Fコードです。無い知恵を絞って考えますが、肉体的な努力だけでは無理であると判断しました。いかんせん、昔のギターは弦高が高くて12フレットで4mmなんて当たり前です。今のギターが6弦側で2.6mmくらいであるのとは大違いの時代なのです。ブリッジを削ろうと決心しました。弦高を下げて、抑えやすくするのです。

シコシコと紙やすりでブリッジを削っていきます。ギリギリまで削ります。失敗しても、楽器屋にブリッジが売っているのでここは思い切って…。で相当に低く削りました。これ以上低くすると、弦がブリッジの上でバズッ(ビビッてしまう)てしまうのは素人でも分かります。何とか12フレットでの弦高を3mmちょい位にまで下げることができました。一円玉の厚さが約1.5mmですから、それを2枚重ねてちょうどスカッと入るくらいです。確かに下がりました。しかし、しかし、しかし…、「神は超えられぬ試練を人に与えぬ」と言いますが、ホンマかいな…。確かに12フレット当たりの弦高は下がっていくらかは抑えやすくなっているのですが、初心者の主戦場は3フレット以内…。ここはブリッジから遠く離れていますから、たいして弦高は下がらないのです。ブリッジではなくナット側を削って低くしないと…。しかし、素人にそんな芸当は無理です。

ブリッジを削るという方法は失敗に終わりました。またもやFから逃げ回る日々…。って、そういう訳にはいかないのです。また、修行僧のようにセーハを練習する日々。「叩けよ、さらば開かれん」て…、ホンマに開くンかいな…。

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