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サウンドその51:「ストラディバリウスの、ギター…、ってウッソォ!」



ギターのある生活 2018年9月29日付の朝日新聞朝刊を読んでいて、ある記事に目が留まりました。その記事の見出しに「最高級のバイオリン ストラディバリウスって?」。それだけなら別に興味はありません。何億もするバイオリンなんて私には関係ないですから。が、その画像の中に「ギター」があったのです。一見バイオリンのようなシルエットを持った細身のスタイルですが、確かにギターです。ウクレレのようにも見えますけど。じゃあ、このギターも高貴な音色を醸し出して、何億もするギターなのかぁ! と、少々色めきましたが、その画像の横に「推定価格非公表」とありました。まあ、良好な状態のもの(演奏可能)は世界でこれ一本だけだそうですから、お高いのは間違いないでしょうけど、私の興味はその音にあります。どんな音色なのやら。

ダメもとでWEB検索してみると、なんとこのギターの演奏動画がYouTubeにあったのです。やはり、同じように興味を持った人たちがいて、その動画を上げて、記事を書いてくれたのでしょうか。と、思ったら2016年の記事で、知っている人はとっくに知っていたのですね。1679年製のギターで、その名は「サビオナーリ(Sabionari)」。動画の中で奏者の人が抱えているそのギターを見るとマーチン初期(19世紀初頭)のモデルに近い小振りなシルエットです。奏者の背後には様々なリュートが置かれていますので、原型はやはりこのリュートでしょう。それはさて置いて、興味津々でそのサウンドを…。1679年といえばまだバロックの音がヨーロッパに響いていた時代。やはり、どこかそんな雰囲気を感じさせてくれる音です。が、今のギターと違って、あまりサスティーンなどは効いていない、言ってみれば細切れのペンペンとした音です。

このギターは12弦だそうですけど、そのご先祖的な弦楽器であるリュートは主に中世からバロック期にかけてヨーロッパで演奏された撥弦楽器(はつげんがっき)で、その形はマンドリンか琵琶のようですけど、弦の数やチューニングは様々で、演奏者がそれぞれに工夫していたのでしょう。で、この「サビオナーリ」も12弦がどのようにチューニングされているのかは分かりませんけど、演奏を聴いていると、クラッシックギターの奏法のようで、リズムを刻み、コードを抑えてのストローク奏法もあるようです。そこでちょっと気になったのですけど、この時代にはもう「ギターコード、コード進行」なるものが成立していたのでしょうか?

専門家ではないので詳しくは知りませんけど、バロック期といえば確か16世紀末辺りから17世紀初頭位だと思いますが、この頃には和音やコード進行といった概念はまだ確立されていなかったと思います。「対位法」という、メロディーに伴奏として別のメロディーを重ねていくという手法があり、伴奏としての和音やコード進行というのはそのあとに確立されたものだと記憶しています。という事は、今の動画の方の演奏は奏者の方の工夫で演奏されているもので、元々はどのような演奏法だったのでしょうか。やはりリュートのようにメロディーを刻んでいく奏法だったのでは…。

まあ、「だからどうした」と言われればそれまでの素朴な疑問なのですけど、撥弦楽器がその形、奏法を進化させ、今日のギターに近くなっていくそのプロセスを想像してみると、何やら面白いものを感じます。マーチンのドレッドノートはギターの「完成形」のように思いますが、おそらく、今後も歴史の中でその形や奏法は変わっていくでしょう。本サイトの「アコギのこれからの主流素材は合板」で書きましたが、ギターはこれからエレアコが主流となり、そうなれば小型化し、もしかしたら「エレキとアコースティック」なんて区分もなくなってしまうかも、なんて考えています。

とは言え、それはギターの「材」であるトーンウッドが枯渇するという時代背景があり、「良材」を使った「アコースティックギター」の最終形はやはりマーチンが創り上げたドレッドノートでしょう。で、ストラディバリウスの「サビオナーリ」はどのような「材(トーンウッド)」でできているのか興味津々です。その音質ですが、現代のギターを凌駕するような音には聞こえませんけど、比べるものが無い独特の音です。バイオリンですと擦弦楽器(さつげんがっき)ですから、何億円もの音がしてくるのでしょうけど、その「材」はギターとあまり変わらず、トップ材はスプルース、サイド&バックはメイプルといった所がスタンダードだと思います。であれば、サビオナーリもそのような材の組み合わせでできているのでしょうか。もしかしたら、サイド&バックはマホガニーだったりするかもしれませんけど。

ふと目にした新聞記事で、ストラディバリウスのバイオリンと一緒にギターが並んでいるのを見ると、ギターはなんと人の日常に寄ってきてくれた楽器なんだろうという考えに至ります。バイオリンを日常的に弾いている人を見かけることは殆どありません。しかし、ギターを弾いている人は公園辺りでも見かけます。それは、前述の「対位法」から和音、コード進行といった、ギターをより身近にしてくれる奏法が確立したからでしょう。余談ですけど、その橋渡し的な存在としてあのヨハン・パッヘルベルの「カノン」があります。そこに聞こえてくるのは対位法の手法から生まれてきた「カノンコード(カノン進行)」。

試しに、「C→G→Am→Em→F→C→F→G」のコード進行で、アルペジオでもスリーフィンガーでも、ストロークでも自由に弾いてみてください。バリエーションはそれ以外にもありますけど、まずはこのコード進行で。そこに響く音を聞いた時、ギターという楽器の面白さを感じると思います。で、誰でも気軽に楽しめるギターという楽器の楽しさも、同時に感じると思います。

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