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技術力と提案力のOEM企業 寺田楽器



株式会社 寺田楽器
上記の画像は寺田楽器のロゴマークという訳ではありません。社屋のビルにはそれらしいマークはあるの寺田楽器 マークですが、一般に「これが寺田」といったようなマークでもなく、要するに、ただその社名が記されているだけで、上の画像はベタ打ちテキストです。それに英語での呼称である"Terada Musical Instruments Co. Ltd."をくっつけただけです。しかし、ギター好きであればこの「寺田楽器」の名前を知らない者はいないでしょう。その昔は"Terada"のロゴ(文字)が入ったギターがあったようですが、あまり売れてはいなかったようで、それを目にすることは殆どありません。「自社ブランド」ではあまり積極的に作ってはいなかった、という事かもしれません。

同社は様々なブランドのギター(アコギもエレキも)の"OEM"製造を行っている企業です。ちなみにこの"OEM"とは、"Original Equipment Manufacturer"の略で、「他社のブランド製品を製造することで、日本では『納入先(委託者)ブランド製品の製造』」と訳されているようです。要はマーチンやギブソンのギター製作を請け負って、それを事業としている会社が寺田楽器です。こうしたことは別にどのような産業でも珍しくもなく、ギターでは東海楽器やかつてのS.ヤイリなどや、その他多くのギター工房が行っていました。まあ、ビジネスとしては自社ブランドという旗が立たなくても、受注ビジネスですから販売リスクの少ない経営ができるというメリットがあるのでしょう。しかし、寺田楽器はあまりにもその「黒子」的存在に徹しているような会社です。自分の持っているギターの製作者(社)を探っていると、この寺田楽器に行き当たることが少なからずあります。

S.ヤイリ SYD120事実、その"OEM"委託先の数は半端ではありません。しかも、名だたるブランドが勢揃いしています。比較的知られているものでも、グレッチ、エピフォン、モーリス、S.ヤイリ、グレコ、アイバニーズ、島村楽器のヒストリー、シェクターなど。何と、元ヤマハのテリー中本のTerry's Terryも手掛けています。キラ星のごときメジャーなブランドのギターの殆どをその裏方として製作しています。これは、相当の技術的な信頼があるということでしょう。余談ですが、私が持っているギターの中で「S.ヤイリ YO-45」「シグマ by Martin S00028EC」「S.ヤイリ SYD-120」はこの寺田楽器で製造されたものです。YO-45は中国製(委託先)の可能性もあるのですが、かなり高い確率で国内の寺田楽器が手掛けたギターであると考えられます。その証拠は"Made in China"のシールが購入時にヘッドの裏に貼ってなかった(YO-42やYO-28には貼られています)ことと、当時、一度倒産して某企業のもとで再生したS.ヤイリの高級機種は、国内の寺田が製作していたようですから(絶対ではないと思いますが)。

S.ヤイリ YO-45寺田楽器は自らを「提案するOEM」と称しています。それは、「クライアント(依頼主)の要望を聞いてその通りに設計する」という基本に加えて、自社独自の「ギターに対するセッティングの方針」を持っているという事でしょう。"OEM"である以上、マーチンのギターをギブソンのように作ることはあり得ませんが(当然ですよね、失礼)、その仕上がりを「最高の状態にする」ための「独自の基準」をお持ちのようです。弦高やネックの状態、エレキではピックアップの取り付けなどを、ユーザー目線から考えて、それぞれにセッティングしていくそうです。その「基準」は一つではなくその製品が持つターゲットに合わせてそれぞれに決めていくという対応を図っているとのこと。「受けた仕事に対して」、それをさらに高めるための「提案」を行うというのは、効率重視の"OEM"ではなかなかに珍しく、そうそうどこにでもできることではないと思います。高い技術力と、仕事に対する矜持、そして、長い時間の中で熟成されたノウハウ。そうしたものが寺田楽器の「提案するOEM」という方針を支え、その存在感を示しているのでしょう。

寺田楽器 VG ロゴとはいえ、寺田楽器にも自社ブランドは存在します。エレキギターの"Rozeo"、そして、アコースティックの"VG"。個人的な感想ですが、"VG"はギブソン的なモデルが多いのですが、オールローズウッド(表板も)のドレッドノートや、高級素材の質感をあえてピアノブラックで塗りつぶした「音への自信」を表したようなモデルもあります。その音は、全てを聞いているわけではありませんが、ギブソンを少々上品にしたような(ギブソン、失礼)、アタックの効いた音です。私の持っている「S.ヤイリ SYD-120」などは、「うちのギターたち」でも書きましたが、"VG-00"とほぼ同じような(全く同じといってもいい)スペックなのです。本家の"VG"よりもやや重めの音ですが、かなりギブソンに近い音です。私はあまりピックは使わないのですが、ストロークでは鳴りますよ。この寺田楽器も、日本のギターを世界ブランドに育て上げた企業のひとつでしょう。

シグマギター再度余談ながら、「寺田サウンド」というものは確実にあると思います。私個人はこれがとても好きで、「シグマ by Martin S00028EC」などは寺田楽器で作られていた時代(1970年から1984年)のものを選んで(探して)手に入れました。その音は良い意味でマーチンとは違い、あの小ぶりのトリプル0モデルで、一般的な表現で言えばけっこうな「鳴り」を響かせてくれます。なんか、ギブソンにも通じるような音の太い、立ち上がりの速いサウンドです。非常に気に入って、今後も長く使うために、ブリッジ(まあ、剥がれてしまったのですけど)や塗装など、リペアショップで少々お高い修理を依頼しました。私が持っている3本の「寺田楽器出身」のギターは、一様の音ではないにしても、「響く」ギターであり、弾いていて飽きない「音色」をそれぞれに持っています。個人的に、"VG"はオススメのギターです。

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