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弦は緩める?緩めない? 議論再考


以前に本編で「弾かない時 弦は緩める?緩めない?」という記事を書きましたが、この問題はけっこうディープな要素を多く含んでいて、考え始めるとあれこれとその要素が多くなり、少々混乱します。前回の記事では「緩める」「緩めない」という事では、「緩める」選択をし、では弾こうと思う時にはいつも全弦のチューニングから始めるのか、という面倒を多少回避するために、6~4弦の張力の強い弦を緩めておくという「中間的」というか「妥協的な」結論を、とりあえず、ということで書きましたが、やはり、今少し考えてみるべきことがあると思い、その続編にトライしてみます。基本的には前回書いたことでOKではあると思うのですけど、決定的に抜けている要素があり、それが気になるのです。その要素とは、ギターの「個体差」です。

ギター 弦 「なんだよ、そりゃ」なんて言わないでください。ギターを複数、オカーチャンから皮肉を言われるほど持っている「扶養ギター」の多い私としては、問題は極力シンプルにしたいという思いと、現実にはそうもいかないという事実とが錯綜するのです。ギターの「個体差」というと、当たり外れの場合もありますし、機種が違えば設計思想が違うという場合もあります。そうした複数のギターを見ていると、弦の張力でネックの状態が微妙に違ってくるのです。例えば、1~3弦側を張りっぱなしにしていると、気持ちネックが「捩れた」ようになっているもの、気持ちジョイント部分辺りが「沈み込んでいる」ように見えるもの。弦を張った時に「元起き」のように見えるもの、等々です。ただし、どれも演奏性に問題がある所までは行っていません。ただ、気になり始めると気になるもので、私が一番長く使っている(40年物)モーリスW100(?)などは弦を張りっぱなしでもネックはビクともしません。もう、出来上がっている(乾燥しきっている)からかもしれません。

ギター ネック ボルトオン ネックが「ボルトオン」タイプのニューヨーカーは「捩れ」は無いのですが、弦を張ると微妙に12Fのジョイント部分が「元起き」のような感じになります。まあ、「ボルトオン」だから、張力で単純にそんな感じになるのだろうと思ってはいますが、やはり1~3弦の張力がそこに何らかの「癖」を付けているのではないかと思えたりもします。

で、使用しているダダリオのパッケージに表記されている「張力(Tension)」の記載を改めて確認すると(EJ16のLight弦です)、kgで、6弦が11.79kg、5弦が13.56kg、4弦が13.83kgです。ついでに書いておけば3弦が13.70kg、2弦と1弦が同じで10.75kgです。貼った時はトータルで70kg強の負荷がネックにかかっているわけです。それを、6~4弦だけでもある程度緩めてやれば、当然ネックへの負担は下がるのでしょうが、3~1弦には35kg程度の負荷がかかったままになっているわけです。それを知らずして6弦~4弦のみを緩めるということを考えた訳ではありませんが、リペアマンの方となまじ色々話したことで、何か、それまで気にならなかったことが急に気になり始めるってことはあります。ちなみに彼らリペアマンの方々のスタンダードと、一般人のそれとは全く違うと言ってよいかと思います。その感覚は0.数mmの世界であり、3mmと2.7mmの0.3mmの違いをテキトーにしか捉えない一般のもの(私だけ?)とは同じ基準に立てません(立てるわけがない、です)。

さあ、気になり始めました。彼らと話したとき、妥協の産物的に「弾かない時は6~4弦を緩めておく」という事で、弾き始めの手間とギターのネック保護(?)の両立を図ったわけですが、彼らリペアマンからしたら、当たり前ですが、個人の演奏よりもギターの状態の方が重要な訳で、本音は全ての弦を「緩めておくべき」なのでしょうね。まあ、他のリぺショップに行ったらどういう事を言われるのか分かりませんが、私が今お世話になっているショップのリペアマンの方は「弦を全て緩めておくべき」派であることは間違いありません。思い立ったらすぐにギターを弾きたいものとしては「張りっぱなしでも問題ないけど」なのですが、何本かあるギターのうち少々(僅かな変化なのですが)、ネックに「捩れ」っぽいものや、「元起き」っぽいものが見て取れると気になり始めるのです。リペアマンの方のスタンダードに対する姿勢が感染ったのでしょうか…。

ギター ブリッジ で、主にギターのネックへの影響を考えていたわけですけど、やはりもうひとつ外せない影響にブリッジ周りがありますね。「腹ボテ」です。オベーションのようにブリッジの真後ろに弦のエンドピンを留めるタイプですと、弦の張力はモロ、ブリッジに対してネック方向へ引っ張るようにかかります。ですが、エンドピンをピン留めでボディに固定するタイプ(ほとんどのギターはこれですね)では、張力は表板に対して真下からかかります。つまり、表板を膨らませる方向です。故に、弦を張った時、表板がある程度膨らむのは当然ですが、その膨らみにブリッジの「貼り付け(固定)」が追随できない時、ブリッジが「剥がれる」ようです。剥がれなくても、そのまま表板(ブリッジ後方)を上に押し上げ、見事な「腹ボテ」となる場合があります。ちなみに、オベーションのような構造でもブリッジが表板にしっかりと固定されていれば、当然、ブリッジの前方を支点に表板を引っ張り上げて「腹ボテ」になる場合があります。まあ、腹ボテの原因は、(振動を良くするための)表板の強度不足(薄い)が大きな原因でしょうが。この腹ボテの修理はけっこうお高いでしょうね。

その辺を考えているとどうにも気になり始めます。で、これは私自身が再度出した「答え」なのですが、弾かない時、「やはりまだ木が十分にできていない(若い)ギターは弦を全部ペグ一捻り以上緩め」、「もうン十年弾いているギターは6~4弦をペグ一捻り以上緩める」、です。大した結論でもないのですが、全てのギターが「材」を十分に「シーズニング(乾かす)」されているわけではないでしょうし、中には脂分が抜けきらないもの(ココボロなど)もあります。この辺りの「個体差」はどうしても考慮せざるを得ないのでしょうね。余談ですが、私、「チューニング恐怖症」でして、そのあたりのことは本サイトの「ギターのある生活:サウンドその23」に書きましたが、要はチューニングの際に「弦が切れそうな気」がして、それが強迫観念となっているようなのです。それと、「弦を緩める、緩めない」とは全く関係ない事なのですが、できれば「弦を張りっぱなし」でも構わないギターが欲しいものです。「材」が木じゃ、無理か…。

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