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ギターは小さなオーケストラ 然り…


「ギターは小さなオーケストラである」。この言葉を聞いた(見た)のがいつ頃のことであるか忘れましたが、その言葉には即、「まさに、然り」と共感したものです。この言葉はベートーベンが言ったものというのが一般的であるようですが、別の音楽家が言ったという説もあり、鉄板ではありません。まあ、私としては誰が言った言葉であろうとそれ自体はどうでもいいことで、ギター(時代的にはクラシックギターでしょうね)という楽器の本質をそのまま表現した言葉であると感じました。理由は簡単です。まず、自分がギターを持って楽しんでいたこと。それは置いといて、事実、「和音が出せる楽器=ベース部とメロディ部を同時に奏でられる楽器」は、鍵盤楽器(ピアノ等)とギターしかありません。ハープとかチェンバロもあるという突っ込みはお控えください。大きく分けて、ストリング(弦)楽器としての、「鍵盤楽器(弦を叩く)」か「弦を直接弾くか」ということで、ピアノとギターがその代表的な楽器であるという事です。

そして「小さい」という事で言えば、アコースティックギターこそが「小さなオーケストラ」なのです。「あらゆる和音」とか「音のレンジの広さ」に関してはピアノが勝りますけど、誰もが気軽に手にすることができる(価格的にも)のはアコースティックギターです。どこへでも持ち運べます。その「材」によって音にかなりの差は出ますが、そこそこのもの(10万程度かな…)であれば、まず満足な音を楽しむことができるでしょう。軽自動車が買えるくらいのお金をつぎ込めば、うっとりとするほどの「響き」を楽しむことができます。ところで、「小さい」という事で言えば電子キーボードやエレキギター、鍵盤ハーモニカ(ピアニカ等)もありますが、「オーケストラはアコースティック」という事で言えば、電気で音を作り、鍵盤ハーモニカは音の出る構造部分が「笛」なので、これも音を作れるという事で埒外。最近の電子ロールキーボードというペラペラの楽器もありますが、これも対象外。

で、本サイトの「サウンドその9」で「考えてみたら、ギターって不思議な楽器」という記事を書きましたが、その不思議さのコアは「ギターは実にシンプルな構造なのに、実に豊かな表現力を持つ」楽器であるという点にあります。要は「木の箱と針金(昔は動物の腸で作ったガットや、ナイロン)の弦」でできています。細かい仕様はさて置き、そこに太さの違う6本の弦が張られ、それを指で直接弾いてかき鳴らし(まあ、ピックで弾く場合もありますけど)、何とも豊かな響きを奏で、その音の広がりと構成はまさに「小さなオーケストラ」です。基本的には、6弦から4弦までがベース音を担当し、3弦から1弦までがメロディーを担当して、オーケストラのように様々な音が交じり合って、音の空間を作ります。オーケストラには金管楽器や木管楽器、打楽器、鍵盤楽器、弦楽器等、様々な楽器が使われますが、それぞれの楽器の音はあるのでしょうけど、聞こえてくるのは「オーケストラ」という音の塊です。アコースティックギターの場合も然り。弦一本一本の音はありますが、それらが一つとなって、空間に音を広げていきます。

ちなみに、なぜこの「ギターは小さなオーケストラ」という言葉を殊更に記事で書こうとするのかと言うと、アコースティックギターという楽器の、単刀直入に言えば「素晴らしさ」について書いてみたかったからです。この言葉以外にも、様々な音楽家がギターという楽器を讃えて、「私はギターの和音がたまらなく好きだ。私は旅行の時はいつもギターを仲間として連れてゆく」、「ギターは和音と多音の点で最も豊かな楽器である」、「ギターはオペラグラスを反対にかけてステージを見た時のオーケストラのようなものである」、「ギターは素晴らしい楽器である。しかしその素晴らしさを理解している人ははなはだ少ない」といったような言葉を残しています。構造的にはバイオリン、セロ等に近いのですが、それらとは全く違った音の広がりを持ち、そしてそのギターが今日的な音楽を、より身近なものにしたと言っても過言ではないと思います。

アコースティックギターに関して言えば、その音の広がりを作る要素として「倍音」というものがありますが、これは簡単に言えば、音をオシロスコープで見た時の正弦波(規則正しい波形)が、その中心で二つの正弦波となって響く音です。ギターの弦にはこの「倍音」が出やすい箇所があり、まあ、一般的には12フレットと7フレットですかね。もちろん、そこだけではなく、強弱はありますが、弦を弾いたときにその音の倍音が出てきます。これが音の広がりを作ってくれるのですが、よく「あとからあとから湧いてくるような煌びやかな倍音」なんて表現を聞きますけど、そのギターの深みのある音を表現しようとしている言葉でしょう。個人的には、オールドマーチンや、ルシアーメイドの材の良いギターからそうした「響き」が醸し出されてくるのを耳にします。堪らなく、美しい…。

ギター指板ただし、個人的にはこの倍音があまりにも強すぎると、ちょっと「うるさく」感じることもあります。ほどほどでないと、ハーモニーという点で「このギター、ちょっと…」ってな事になります。もっとも、それは好みであり、弾きたい曲にもよるのでしょうけど。で、少々「大きなお世話的」な事を言えば、アコースティックギターの音を語るとき、高い音である1弦・2弦の美しさを評価の基準にされるのを聞くことがありますが、決めつける訳では決してありませんけど、ギターはどうも高い側の音は材の良し悪しにそれほど影響されないように聞こえます。材による音の本領を発揮するのは低い側の6弦~4弦の音でしょう。材がそれほど良いものでないギターでも、ピックでハイフレットのフレーズを弾くとそれなりに聞こえます。が、フィンガープレイでベースを入れながら弾いている演奏を聴くと、そのギターの材の差が明確に出ます。いや、ホントに「音の深みが全然違う」のです。あと、中音域でいくつか、良い音が出る箇所がありますが、それがやたらに目立っていると、これまたハーモニーを崩してしまうような感じで…。

能書きをダラダラと書くつもりはありませんけど、「このギターを手に入れて本当に良かった」というギターは持っています。まあ、少々お値段は張りましたけど、それに見合った以上の音を響かせてくれます。私自身、とても「上手い」とは言えませんし、アラカンの哀しさで少々指の動きが若い頃ほどは自由になりません。しかし、故に、シンプルでしっかりした「アルペジオ」から響き渡る音をジックリと楽しめるようになりました。若い頃のように「跳ね回るような」グルーブ感は出せませんが、今は一音一音、自分のリズムで弾き出しています。むしろ若い頃より、今の方がギターの演奏を楽しめているのかもしれません。色々な曲をコピーするのも良いのですけど、ギターの指板上にある音の位置を思い出し、そのルート音に様々な音を重ねてテキトーに弾いてみるのもなかなかに楽しいですよ。すぐに役に立つものではないとは思いますが、左に、指板上の音をまとめた画像を貼り付けておきます。私が自分で作って使っているものです。これが役に立つ頃にはギターがもっと楽しくなっていると思います。ここにあるルート音にコードを構成する音(音を移動させる際の一瞬の経過音も入れれば全ての音が使える。理論上は)を重ねてそのハーモニーが耳に心地良く響いた時、まさにそこには「小さなオーケストラ」が。それを一人で楽しんでいます。下手でもいいじゃないですか。

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