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エレキのアコギ? エレアコの歴史


エレアコの正式な呼称は「エレクトリックアコースティックギター」でしょう。しかし、この呼び方、何ともややこしいと思いませんか。私はアラカンになるまで様々なエレキギターやアコースティックギターで遊んできましたが、その両方が一つの言葉になるとは、ナンジャラホイ? ってな感じです。せめて、エレキギターはそのままなので、エレアコも「ピックアップ付きアコースティックギター」とかって分類してくれればいいのにと思います。まあ、どうでもいいか、呼び方なんて…。
メイトン エレアコ
私が初めてアコースティックギターを手にしたン十年前にもアコースティックギター(以下、アコギと省略)用の後付けピックアップは存在しました。今でいう「マグネット式」のものですね。同じように、サウンドホールに両端を突っ張るように取り付けて弦の音を拾うものでしたが、今のものよりゴツイ感じの記憶があります。ハイ、まったく興味はありませんでした。ステージに立つ人が利用していたのでしょう。こちらは、スリーフィンガーで指が攣っているようなコブラツイスト野郎でしたから、関係なし。一人でこっそり静かに練習していました。

で、しばらくしてある程度ギターが弾けるようになると、ハイ、お約束のバンドなんかやっちゃって、その頃にはエレキギター(以下、エレキと省略)に興味が移っていました。エレキですからピックアップが付いているのは当たり前(ってか、無いとただの木の塊かオブジェ…)。歴然とエレキとアコギの間には区分がありました。まあ、両方が同じバンドに存在することはありましたけど、主役は音量に勝るエレキで、アコギはアンサンブル(合奏、重奏)の一環として参加している訳で。音もピックアップからではなくスタンドマイクから取っていたと思います。昔、アコースティックの音をラインで取るのは見た記憶が無いですね(あったかも)。

本テーマに関しては以前にも本編で「アコギ用ピックアップって、必要?」という記事を先行して書きましたので内容が少々重複するかもしれませんけど、そちらは「エレアコ」というより「後付けのアコギ用ピックアップ」についての私見を書いたもので、こちらは「エレアコ」が登場する「歴史(的背景・事情)」について書こうと思っていますので記事の目的としては異なっていますが、以前のものも読んでいただければ嬉しく思います。

で、その「エレアコ」に関する簡単な定義をしておきます。ややこしいので。ここでいう「エレアコ」とは最初から電気的な「ピックアップ(ほとんどはプリアンプも)」と出力用ジャックが取り付けられていて、それを前提としてアコースティックの構造を持っているギターです。と、定義しつつ、同時に「アレ…?」なんて思ってしまいました。そうなると、エレキに分類されている筈の「フルアコ」や「セミアコ」タイプのギターはどうなるのでしょう? セミアコはちょっときついけど、フルアコ同様、ホロー(中空)構造となっていますので、空気でそれが振動しますから、当然弦の音も拾って「生音」を出します。ソリッド(密な個体)でも生音は存在しますが、それはここでは無視。ビートルズのジョン・レノンやジョージ・ハリスンが使っていたギブソンの「J-160E」はエレアコ? これは1950年代には存在していました。音的には、まあ、アレですけど…。それ以前にも「CF-100」なんてピックアップを搭載していたフラットトップギターが存在していますが、これは初めてのフローレンタイン・カッタウェイ・スタイルのアコギってことでエレアコってイメージは無いですけど。

さように、エレアコの歴史を創る「嚆矢(こうし:物事の初め、戦いの合図として初めに打つ矢の意味から)」を定めるのはちょっとややこしいのです。正直言って、フルアコやセミアコはエレキだし、「CF-100」や「J-160E」は失礼ながら色物的な感じだったし…。そこにエレアコのスタートを感じることはできません。ここはやはり、「オベーション」の登場がエレアコの歴史1ページ目であろうと思います。本サイトの「ギターのあれこれ」に書いた「航空技術からギターが オベーション」にあるように、その設立は1966年(昭和41年)、私が学生の頃、その斬新なデザインのギターに目を見張ったのは1970年代半ば(昭和50年代)。その音にも驚きました。アコースティックのようで、ちょっと違うアタック感を持った、「ピックアップ」を経て「アンプ」から飛び出してくる歯切れの良い、聞いたことのない表現しにくい音…。

「エレアコ」という存在を意識したのはこの時で、やはりここが歴史の始まりでしょう。で、タカミネも70年代に登場します。そこで思うのですけど、この70年代というのはアコギにとって、歴史的に大きな転換点となる時代だったのではないでしょうか。それはどういうことかというと、ワシントン条約を持ち出すまでもなく、「良質なアコギを作るための良質な原木が枯渇し始めた」時期であると言えます。事実、アコギもエレキも、この70年代前半辺りで、その音と価値がかなり変わってきていると思います。これは個人としての経験則ですが、それほど間違った考えではないと思います。それまでに、優良なアコギ原料である「材」を独占してトップブランドに輝いていたマーチンも、この辺りから80年代に向けて、新しいギターの「材」となるものを求め始めていたと思います。他のメーカーも同じ。この辺り、日本の合板技術が「一日の長」を持っていたようです。エレアコ作りにはこの「合板技術」がおおいに貢献していると考えます。音響効果の設計規格化、品質の均等化ができるからです。

つまり、アコギで質の高い音を奏でるための「材」の枯渇により、新たなアコギの在り方として、「エレアコ」が台頭し始めたのではないかと思っています。アコギ的なアタック感、音の立ち上がりの良さはそのままに、アンプやエフェクターで自由な音を創り出せますから。おそらくはこれから、エレアコが音楽シーンの中心になってくるのではないかと考えています。某コータローさんはエレアコ一本で大きなホールの聴衆を魅了しています。私らが若い頃にはそのような景色、想像できませんでした。アコギのインスツルメンタル自体が少なかったですから。今では、エレアコで色々な奏法が考え出されていますね。ただ、あの「タップ」ですか、ギターのボディを叩くのはどうも興ざめです。まあ、アラカンオヤジとしてはアコギは打楽器ではなく、タップ的なパーカッシブなものは別物で…、と思ってしまいます。フラメンコギターがあるじゃないかという突っ込みは…、まあいいか。

ハイ、ギターの歴史は変わりますね。抵抗するつもりもありませんけど、アラカンオヤジとしてはパーラー(狭い場所)的なギター演奏、酒でも飲みながらの演奏が好きな訳で、「御静聴」なんてものはアコギに求めません。私がブルース好みだからかもしれませんが。しかし、最期に野暮なことを言いますが、あのエレアコの木でできたサイドに「プリアンプのコントローラー」が埋まっているのは何とも興覚めに感じてしまいます。まあ、アラカンオヤジの独り言です。素晴らしい「木の音」は、ヴィンテージとやらの「投機的」世界で生きていくのでしょうかね。一流の「材」が奏でる音は、エレアコではどう頑張ろうと出せないと思います。もう一発アラカンオヤジの愚痴。素晴らしい「材」でできたギターに後付けのピックアップという組み合わせは理解ができませんね。なんか、ゴッホの絵に液晶画面埋め込むみたいで。

とはいえ、ギターはエレアコを中心に回り始めているのは間違いないでしょう。素晴らしい音をリーズナブルに供給できるとすれば、それはユーザーの利益として喜ばしい歴史の始まりです。多分。

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