木の音 人の技 トップタイトル

古いギターに現れる単板と思われる特徴


ギターの事についてあれこれ調べて書いているうちに、「単板」のギターについての特徴のようなものがいくつか分かってきました。もちろん、推測ですが、古いギターで情報が全くないギターの場合、そのギターがどのようなスペックを持っているのか、「知りたく」なります。なんせ、趣味ですから。「いったいどんな素材で作られているのか? 製作上の特徴は?」なんて。で、ちなみに、要らぬ前置きをしておきますが、私はアコギの素材として「単板至上主義」ではありません。ではそれがなぜこのように「合板か単板か」見分けるようなことについて書くのか。ハイ、前述したように、ギターは私にとって弾くのはもちろんですが、その工芸品としての美しさを楽しむのも「趣味」だからです。単板のものも合板のものも持っています。しかし、その中にはスペックや製作の経緯などが分からないものもあります。そうしたギターたちについて調べるのは楽しいことです。本記事はその中で古いギターの「単板」素材に現れる特徴のようなものについてまとめてみました。お断りしておきますけど、個人が推測しているもので、絶対的なことではありませんので、興味がおありの方はご参考にしてください。

単板のギターはマーチン、ギブソン、S・ヤイリ、等持っていますが、これらはメーカーがスペックをカタログで表示していますので調べるまでもなく分かります。しかし、古いギターやルシアーメイドのギターの中にはスペックがハッキリとしないものがあります。断片的には前のオーナーから聞いたりしていますけど、全ては分かりません。素材などは比較的わかりやすいのですけど、その材が「単板なのか、合板なのか」は分かりません。もちろん、音を気に入ってしまえばそのようなことはどうでもいいのですけど、「趣味」ですから、できるだけ調べてみたくなるのです。その結果、古いギターに現れる単板の特徴なるものを私なりに類推し、記します。もっとも、リペアショップの方などから聞いたものもありますので、その意味では「主観」のみではなく「客観」性もそれなりにあります。本サイトのあちこちに【追記】として書いたものなどをここにまとめてみます。

【その1】「不規則な歪みが出る」
ココボロ バック材これは特にバックですが、私の持っている「南米生まれのアコギ "Z"」に比較的顕著に現れているのですけど、サイド&バックの材がココボロです。ココボロの特徴は何といっても、「ムンク」とも呼ばれるその「板目」模様なのですが、私のはいわゆる「追い柾目」と呼ばれる、センターが柾目状で両サイドにムンクの作品「叫び」のような渦巻き状の独特の模様があります。これは、手に入れた時、ギターとしては「壊れていた」のですが、ネックやフレット、フレットボード、ナット、ブレーシング(力木)剥がれ、バック材の剥がれなど、少々お高い修理をして復活させたギターです。その際にバックが歪んでサイドから剥がれた個所で、バック材が単板であることは確認できました。というように、バック材がジャガイモのように不規則に歪んでいたのです。これは、私が手にするまでの保存環境の悪さも原因ですが、材のシーズニング(乾燥)が甘かったり、ヤニ成分の多さでココボロやローズウッド類に起こりやすいことのようです。サイドとバックを再接着し、ブレーシング剥がれを直し、しばらくしたらやや平面に近くなりましたが、まだ歪んだままです。これは、ギブソンなどのバックでも起きることのようで、合板なら丈夫なのでこんなジャガイモのような歪みは出ないし、歪んだとしても規則正しい歪み方(例えば、ブレイシングの箇所だけ歪んだりとか)をするようです。中には、光にかざして分かる程度の不規則な歪みを起こすこともあるようです。

【その2】「センターの『接ぎ合わせ部分』がずれる」
これも前述のココボロで起きたことなのですが、バックの歪みはさて置いて、センター(ブックマッチの継ぎ目)がずれて(一部、剥がれて)いたのです。これは滅多に起こらない事でしょうけど、「接ぎ合わせ」の甘さがあったようです。これは個人ギター製作者の方(ルシアー)から聞いた話ですが合板であれば、接ぎ合わせ部分は強く、ここに割れ止めは必要ないそうで、ペタッとシールなどがそこに貼ってあるのはまず合板だそうです。ただ、割れ止めはそれが「ギターの構造に必要なもの」とされてきたのか、合板でも大抵は付けられています。サイドが合板でも割れ止めがあるものがあるようで、故にサイドに割れ止めがあれば単板、というのは必ずしも言えません。ちなみにラリビーは単板の接ぎ合わせですけど、センターに割れ止めは無いようです(あるものもある)。まあ、私の「Z」君はもともとが満身創痍で、このセンターのズレも直してもらいました。余談ですが、作りが「いい加減」でも、音の良いギターはたくさんあります。

【その3】「単板の材には鋸で切った『ノコ痕』が残っている場合がある」
ヤマキ ギター バック材内部これは私もよくは知りませんでしたけど、単板の板は鋸(のこぎり)で切って、薄い合板(後で多層構造に加工する)は鉋(かんな)で削り取っているそうです。ですから、合板の材の表面は特に何の痕も付きませんけど、単板の表面にはその鋸で切った後の「ノコ痕」が残るそうです。これは、ギターを立てた状態で、バック材に横に均等に並んだ状態で残るようです。ただし、今のギターは木工用のベルト研磨機(電動のベルトサンダ)できれいに磨き上げられますから、そのような「ノコ痕」は残りません。しかし、古いギターで、手作業で研磨しヤマキ バック材たギターは経年による変化なのか塗装されている場合に、光の具合で分かる程度にこの「ノコ痕」が見える場合があります。私の「ヤマキ オーダーメイドギター(ブランドは FOLKS )」のバック材にそれがあります。もともと、栗林楽器(今は無い)のOEMでヤマキ(当時、会社になったばかり)が製作したギターで、1969年から1972年くらいまでの短い間に作られたギターのようです。ですから、おそらくは職人による手仕事で作られ、電動のベルトサンダ的なものがあったとしても、多少の粗さはあったのではないでしょうか。もしくは、2mm~3mmの間で設計されるバック材を元の素材の厚さ目いっぱいで使ったために、ギリギリまでの研磨でバック材を仕上げ、微かな「ノコ痕」が残っているのか。ちなみに、この「ノコ痕」、「Z」のバック材内側にはハッキリと残っています。これは、おそらく「テキトー作業」故でしょう。まあ、音には関係ありませんから。外側はきれいに磨かれていて、単板お約束のクラックも出ています。余談ですけどバックの外と内との木目が一致していれば単板という意見もありますけど、先に述べた通り、材を鉋で薄く削り取りますので、殆ど木目が同じ合板というのは簡単に作れるそうです。これは、某メーカーが認めている事です。バック材に2mm~3mmの厚さがあれば、単板でも木目が多少は「流れたり」「広がったり」、変わるのが自然です。ちなみに、このヤマキの場合は外側の杢目に対して内側は「下に向かって左右に広がる」ような木目になっています。

【その4】「バック材に鑿か小鉋の加工痕が残っている場合がある」
これは前述の【その3】の「ノコ痕」と区別が容易につくものではないと思いますけど、ギターのバックは音がサウンドホールに集約できるよう、若干の湾曲があります。アーチバックとかドーミングとか、ラウンドバックとか様々な表現があるようですが、単板の板を鑿(のみ)や小型の鉋(かんな)で削って、微妙な湾曲を作っている(派手な湾曲もあり)所をWEBで見たことがあります。まさに職人芸。自分が納得のいくアール(湾曲)が出るまで、まさにコツコツと作業を続けられていました。その際の作業痕もサンディングできれいに磨かれて痕は残らないと思いますが、先の【その3】の「ノコ痕」のように、経年によりその加工痕が浮き出てこないとは言い切れません。塗装されていたら分かりませんけど、ナチュラルなものの中には、何かの加工の痕が残っていることを否定しきれません。前記「ヤマキ」のバックに見られる「ノコ痕」も、それだけとも言い切れない箇所があります。が、光にかざしてかろうじて判別できるくらいの痕跡ですので、何々の作業の痕、などと断定はできません。しかし、今の完璧な工業製品的なギターには無い人間臭い痕跡が残っている可能性はあります。

【その5】「木目に沿って縦にクラックが入っていたり、痩せていたり」
ハカランダ バック材材の木目に沿ってクラックというか、表面だけではなく材にまで及ぶ「線状」のクラックが入っていれば、それはまず単板です。合板のギターの割れ目というのは「線状」ではなく「周辺」を巻き込んでグシャッといったような形で、「割れる」というより「潰れる」といったような感じで凹みます。そんな傷がある場合は合板でしょう。バック材の内側を見て、そこに補強がされていたり、タイトボンド(古いものは膠)で修理されていれば単板の修理痕です。また、サイドとバックの間に隙間が空くような、いわゆる「材が痩せたような」状態になるのも単板の特徴でしょう。合板はいわゆる「ラワン材」を間に挟まれる場合が多いようですが、これは変形しにくい材です。ラワン材といっても「安物の木」を想像するのは間違っています。一般に「ラワン材」と呼ばれているのはマホガニーの仲間です。変形しにくく、強い材です。これが「痩せる」ような状態になることはまずないでしょう。私の持っている「USAルシアー作 0タイプ(?)」バック材は木が痩せた痕を補修してあり、線上に入った傷が補修してあります。

ハイ、好奇心で色々と調べたことをツラツラと書き並べましたけど、まあ趣味的な自己満足の域を出ていませんね。多少のご参考にでもなれば、と思いますが、ならないか…。しかし、木材のプロになる気がある訳ではありませんけど、「木」という自然の素材は面白い。ローズウッドといっても、一本の材木の中でトーンウッド(楽器製作に適した木)が取れるのは1割程度であるとか。その中で最高のものはさらに1割程度だそうです。で、今やそのトーンウッド自体が乱伐によって枯渇しているそうです。エレアコの電気の音ではなく、そのトーンウッドの音を聞いてみたい。まあ、それであれやこれやギターに手を出している訳ですけど、色々調べても結局は今抱えているギターから響いてくる音が全てです。その音に浸って楽しい時間を過ごせれば、それはハッピーであることは間違いありません。

ところで、ギターにある程度詳しい方はもうお気づきでしょうけど、ここまで書いたことはバックがローズウッド系の場合で、マホガニーの場合については「YAMAHA プロトL3…(?)」の中に【追記】で書いていますが、この材は変形しにくく、安定した素材だし、単板だろうと合板だろうと、あまり音的に変わらないというイメージが強いのです。なんせ、前述したように合板によく使われるらしいラワン材自体がマホガニーの仲間ですから。マホガニーはローズウッドほど単板か合板かの興味は一般に薄いのではないか、と勝手に思っています。

上記、書き連ねたことは「異論、反論、間違いご指摘」等々、当然あると思います。が、まあ趣味で色々調べたという事でご了解願います。

とりあえず色々へ




■これからギターを始められる方のご参考にでもなれば。
これからギターを始める方に バナー

【商品検索】

↑「すべて表示」をクリックするとAmazon.co.jpの検索結果一覧に移動します。

■サイトポリシー ■プロフィール ■お問い合わせ
ページトップへ戻る

Design by Megapx / Template by s-hoshino.com
Copyright(C) Ureagnak All Rights Reserved.