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南米生まれのアコギ "Z"


南米生まれ ギター Z このギターは少々、ややこしい経緯で私の手元に来ました。手に入れてから、しばらくは仕舞っておいたのですが、やはりその音を聞きたくて、リペアショップに入院させ、少々お高い修理代を払って最近ようやく退院してきました。何故しばらく仕舞っておいたかと言えば、手に入れた時、ギターとしては壊れていたからです。症状としては、とにかくネックが見事に逆反り。ナットも割れていて、1弦はベンベン…。バックは波打ってネックの部分と肩の部分が剥がれていました。まともに弾くことはできません。あと、トップの仕上げも少々凸凹で、まあ、ギターの作りとしては雑で、さらにそれがギターにとっては相当劣悪な環境で「転売」されていたようです。

つまり「セドリ(主にネットオークションの転売で儲けを狙う輩。本来は知識豊かな古書取扱業者の意味)」の間を転々として、彼らの期待した儲けなどは生み出せずに放られていたようなものでしょう。それを、少々リスクを覚悟して手に入れたのは、その「材」に魅力があったからです。トップが「ホンジュラスマホガニー単板」、サイド&バックが「ココボロ単板」という触れ込みに。

ココボロ 「ココボロ」はハカランダの代替品としては評価も高く、また、入手困難なギター用の「材」です。しかも、画像とは言え、オレンジに近い色(右の画像はちょっと暗いですけど)。私は木材のプロではありませんが、これまでの経験から言って、オレンジ系のココボロは珍しく、また、ド派手な杢目が出ているものはどうも良い「材」とは思えないのですが、それは「追い柾目(柾目と板目が半々)」かと思えるほどに大人しい、木の地がしっかりとしているような「材」でした。ホンジュラスマホガニーはまあ、つまりはマホガニーで、品質にバラツキはあると思いますが、かなりハッキリとした杢目があります。マホガニーはあまり杢目のハッキリとしたものは少ないと思うのですが、これは縦縞のように杢目が出ています。それと、全体に赤っぽいのです。どうも、塗装ではなく「材」本来の色のように見えるのです。素のままの地で赤っぽいのは、けっこう目の詰まった良い「材」である可能性が高いと思いました。

南米 ギター Z 実はネットのオークションでかなり前から出品されていたものなのですが、産地は南米で、そこの「セルジオ・ゼペッタ」とかいう工房で作られたものだそうですが、その工房は主にスパニッシュギターを手掛けている所のようです。詳しいことは省きますけど、「材」は前記の通りですが、出品者はおそらくギターのことに殆ど素人であるらしく、とにかく情報不足。で、WEBでその出所を追いかけてみると、おそらくキャッシュとしてでしょうが、不完全なサイトの残骸に行き着きました。それを見ると、そこも「転売先」の様なのですが、同じギターの写真と、同じようなことが書いてありました。情報的な収穫はそのギターが日本に入ってきたのは4年くらい前ということです。その辺りからどれくらい転売されたのか、分かりません。

手に入れてから分かったのですけど、けっこう、晒しもの状態で、日本の湿度のためか、ギター全体が歪んでしまい、張ってあった弦は、何年経っているのか分からないほどに錆と垢で汚い汚い。ペグは固着して、私、力はある方ですが、ヘッドが割れないかと思うほど力を入れて回す必要がありました。一応シャーラーですが、出品者は高級品と言いたいのでしょうか、「ドイツ製」と書いていましたけど、回したことないのでしょう。ばらして再グリスアップして直しました。今はクルクルと気持ちよく回ります。

とにかく、けっこうな期間、オークションで出品され続けていましたが、最初はかなりの値段で「日本に一本」とかって出品されていて、いくら良い「材」であっても、素性がこれではおそらく売れないと思っていました。情報不足。で、やはりずっと売れていません。入札も付きません。で、たまたまなのですが、かなり経って、もうそのギターのことなど忘れていたころ、久々にオークションを眺めてみると、なんとまだありました。で、けっこう値段も下げてきており、その理由に「リペアが必要なため」とあって、ネックのフレット打ち直し等が必要なので、思い切って値下げと書いてありましたが、ウソかホントかのリスクはありますけど、その「材」がもしホントなら手に入れてみたいと思えるギリギリの値段だったので、思い切って「材」を買うつもりで落札しました。ちょっと、余談ですが即お金を振り込んでも数日放置、文句を言ってやっと送る日を伝えてきましたが、その日には届きません。ちょいと文句を言うと逆切れ…。まあ、オークションですから相手のことは分かりませんが評価二けたの相手なので覚悟はしていましたけど、「安く売ってやって、赤字なのに!」ってな恨み言です。私は「異常」であるとか…。疲れた。

南米産 アコギ Z ハイ、冗長にこのギターと出会うまでを書いてみましたが、こういうのはよくあることで、要は思った通りのギター(この場合は「材」ですが)が手に入ればいいのです。気持ちよく取引できればそれに越したことはないのですが。で、やっと届いたギターというか「材」ですけど、弦がフレットに接触するほどの逆反りで、確かに弾ける状態ではありませんし、ナットは端が見事に割れていましたが、6弦から4弦に太めの弦を張ってカポを2フレットにセットして、かろうじて出てくるその音を聞いたとき、気分の良い入手ではなかったにせよ、「これは!」と思える音がギターから響いてきました。正直、驚いた。と同時に、何故これほどのギターを、このような扱いしか「彼ら(利益目的)」にはできなかったのかと、情けない気持ちになりました。ちゃんとリペアすればどれほどの音になるのか…。出品者は3万くらいで治るなんてことを平気で言っていましたが、ギターをリペアした事のある方はお分かりだと思いますけど、必要な作業は「ナットの作り直し」「フレット打ち直し」「浮き上がっている指板を削って調整」「反ったネックの調整」「バック&サイドの割れ補修」、もしかしたらサドルの交換も必要になるかもしれません。他にも何があるやら。自分で調べた範囲内ではブレーシングは大丈夫のようですが、プロに調べてもらわないと分かりません。とても3万の世界ではなく、いくらかかるやら…。

お世話になっているリぺアショップで見積もってもらいましたが、やはり、お高い…。まあ、しばらくは「保存個体」とするか…。ちなみに、「高級ハードケース付き」とありましたが、どう見てもデザイン的には武骨で、蝶番はガタガタ。留め具がいくつか取れていて、規格外のネジが適当に突っ込まれていました。しかし、あのギターの持っている本当の響きを聞いてみたい、という思いは募るばかりです。「材」は確かに、サイド&バックはココボロ。トップはブ厚い良質のマホガニー(ホンジュラスかどうかは別にして)。で、これはUSA製の0モデルもそうなのですが、向こうの人のギター設計に対する考え方なのでしょうか、バック材内部のブレーシングが日本のものに比べてかなり細いのです。悪く言えばややチープ。で、こちらもトップがけっこう分厚いのです。リぺアショップの人に聞くと、日本でもそういう作り方をするルシアー(ギターの個人製作家)はいるそうです。またいつものように家人に平伏して、そのギターをリペアショップに持ち込みました。けっこう時間がかかるということで数カ月の入院。

サウンドホール で、ついに退院の日を迎えました。見た目がそれほど変わっているわけではありませんが、ネックはもう完璧! どうも指板もココボロのようで、削った後は見たことのないような赤い地紋が出ていました。しかも、ハカランダなどマメ科の「材」の特徴、ホントにローズのように良い香り! フレットもナットもピッカピカ。ここだけは新品のようです。とりあえずの音出しだけして、家に持ち帰り、いざ! ハイ、期待通り、というかそれを遥かに超える至福の音が響き渡ります。ココボロはハカランダより音のレンジが狭いと言われていますが、確かにそうかもしれませんけどその分、音の粒立ちが良いような気がします。サスティーンはばっちり。手に入れて、リぺアはお高かったけど(リペアショップも値段を気にしてくれたのか、気持ち分まけてくれました)、良かった。

アコギ ココボロ サップ 少し作りに癖があり、トップのマホガニーがあまりに厚く、少々弦を強めに弾かないと十分に響いてくれません。まあ、慣れるでしょう。音質は文句のつけようもなし。ハッキリ言って、あまり聞いたことのない澄んだ音色です。ボディシェイプはドレッドノートというより、ヤマハのLLに近いひょうたん型。ボディは薄く、抱えるとコンパクトです。で、とにかく最初にこのギターが我が家に届いた時、一番びっくりしたのはサイドに「いい加減、テキトー」ともいえるくらいに入っているサップです。通常、ある程度デザイン的に考慮されてサップを入れているギターはありますが、こんなのは初めて見ました。このギターの出品者はこの部分を見せていません。まあ、音に関係するわけではありませんけど、これ見たらけっこうな数寄者が興味を持ったでしょうね。高級素材の証であるこのサップの価値を出品者もその前の「セドリ」連中も気が付かなかったようです(というより、材の不良だと思って隠していたのでは)。やっぱ、ギターの事知っている人がいなかったということでしょう。「面白い」の一言です。
※サップ=木の表層。芯の部分と明確に境が分かれ、装飾的に使われます。ハカランダやココボロの特徴と言われます。ハカランダ製のブリッジにサップの入っているギターも持っています。

アコギ ヘッド Z で、ヘッドの化粧板もココボロです。マークは「Z」。多分、「セルジオ・ゼペッタ」の頭文字なんでしょう。ちなみに、家人とこのギターについて話している時、「Zだから、最後か」と言われ、「へ?」。そうなんです。「おー、Zはアルファベットの最後! てことは、これが俺の最後のギター!」って、騒ぐこともないのですが、もう十分にギターは持っていますから…。しかし、考えてみると、こんな独特の響きを持ったギターが私のところに来たわけで、それが「Z」。なんか、因縁めいて、気分的に悪くはないですね。まあ、これ以上ギターそのものに興味を持つより「練習して上手くなれよ」ってか…。ハイ、その通りです。

このギター、見た目的にはラテンな感じ(スパニッシュギター工房が作ったからか)で、澄んだその音はブルースにはちょっと向かないかもしれませんが、ギブソンとトリプルOはハードケースの中で、今はこの「Z」が私のメインギターになっています。ラグタイムなんか弾くと面白いかも。と、テキトーに、アリスのレストランやテキトーラグタイムっぽい曲を弾いて遊んでいます。

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