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マーチン HD28V


えー、別に言い訳とかではないのですけど、私は事実としてマーチンに対してあまり興味を持っていませんでした。ギター好きではあるのですけど、そのギターのキング的存在であるマーチンを嫌っていた訳でもなく、考えてみればこれだけあれやこれやに興味をもちやすい性格の癖に、何故かマーチンを欲しいと思ったことが無いのは不思議です。学生時代に000-45(復刻版)をカワセの店舗で見かけて「憧れた」ことはありますが、いかんせんお値段が…。まあ、その辺りの事は「ギターのある生活」の「サウンドその14」で「何故、私はマーチンにあまり興味が湧かないのか…」という、極めて個人的なことを書きましたので、気になる方はどうぞそちらをお読みください(って、気になる人はいないよな…)。

マーチンHD28Vまあ、簡単に言えば、決して「アンチ・マーチン」ではありませんが、どうにもあのお値段が実際の使用価値としてはリーズナブルと思えないし、音とは関係のないド派手な個体を作っているし(まあ、マーチンの勝手ですけど)、とどのつまりは、手元にあるギターの音に何の不満もなかったということです。少しだけネガティブなことを言えば、マーチンはどの辺までが「音」を作り上げるための「材・技」のお値段なのか、って思いは持っていました。マーチンの音は知っていますけど、今や、もう国産品が「憧れて、目指す音(真似する)」ではなく、既に凌駕していると思っています。で、まあ、結局「マーチンが欲しい」って事にはならなかったということです。

マーチンHD28Vなのですが、私のギター部屋にはマーチンの「HD28V」がオリジナルハードケースに入って、おネンネしています。どういう経緯でここにマーチンがあるのか。「お前、本当は粋がってマーチンにケチを付けていたけど、マーチンが欲しかったんだろ」なんて揶揄されたら、思わず言い訳してしまいそうになりますけど、それなりの理由でこれを手に入れたのです。ハイ、この辺りでこの記事から他所へ行かれる人が多くなりそうですね。個人的なことに興味がある人はあまりいないでしょう。とはいえ、書きます。

私はアラカンで、これまでの殆どをフリーランスで過ごしてきました。一番長かったのは、広告代理店のプランナー請負の仕事でしょう。食品会社などに契約社員でいたこともあります。正社員生活も多少はあります。テキトーといえばテキトーな仕事で生活の糧を得ていた訳ですが、まあ、幸いホームレスなんて事態にはなりませんでした。しかし、フリーランスですから何かの保障がある訳でもなく、けっこうキツイ仕事が多く、50代前半にはかなり体が参っていました。で、時期的にも親の介護の世代ですから、家人の介護生活の手助け(自分の方はもう終わっていました)をするために、思い切って某広告代理店との契約を中断して、在宅中心の仕事に入った訳です。ここはフリーランスの強み。まあ、稼ぎは劇的に減ってしまいますけど。

それは置いといて、その広告代理店にいた時、そこのクリエイティブの局長がギター好きで、けっこうなお歳(私より上)なのにバンドなんかやっちゃっていました。初期のGold Top・レスポールや私が嘗て憧れていたマーチンの000-45(復刻版)を持っていたりで、けっこうお高いギターを所有されてよく自慢されました。「S.ヤイリ YO-45」の所で書きましたけど、YO-45を買うきっかけとなったのは、その000-45を見せびらかされた故です。まあ、お互いギター好きで、年上ですけどそれなりに同じ時代の音楽を聴いて過ごした世代ですから、ギターやミュージシャンの話になると好みが近かったので話が合いました。が、仕事は殆ど一緒にやったことはありません。性格が難しい方なので(避けてた…)。

マーチンHD28Vでその職場を結局は去るのですが、たまに呑みやちょっとした仕事で出かけた時にオフィスを訪れたりしていました。全く、そこと縁を切った訳ではありませんので。で、このサイトは2017年の初頭から書いているのですけど、ある程度内容にボリュームが出てきた頃、そのオフィスに遊びに行ったら、やはりギターの話になって、パソコンにギターの画像を映して、唐突に「これ、買わない?」と聞かれました。そこに映っていたのはマーチンの「HD28V」。見たところ、殆ど新品のような感じで、シリアルを見ると2014年頃のものです。私は000-45の方を狙っていたのですが、とても値段で折り合いがつかないし、向こうも手放す気が全くありません。で、「HD28V」も決してお安いギターではないので、特に興味を示さなかったら、向こうから破格のお値段を提示されました。思わず「えっ…」です。殆ど新品状態ですよ。何でそれをそんな値段で手放すのかと聞いたら、まあ、なるほどと思える理由が…。

マーチンHD28V「HD28V」はマーチンのプリウォー復刻版モデルで、トップのヘリンボーン、ロングサドル、スキャロップドブレーシング、そして、フォワード(サウンドホール寄り)にシフトされたXブレーシングが特徴のギターです。フォワードシフテッドXブレーシングはボディの響きを良くはしますが、構造的にどうしてもブリッジ後方が太い弦を貼った時のストレスに耐えきれない欠点があります。当初はヘビーな弦が登場してくる事を予想していなかったのか、戦前(1939年位?)には既にフォワードへのシフトテッドXブレーシングを止めたようです。で、その後のマーチンの内部には "Use Medium Gauge or Lighter" のスタンプが入れられています。「ミディアムかそれより軽い弦を張れ」ということですね。「HD28V」の復刻版の内部にはそのスタンプはありません。かつてのプリウォーでは入ってなかったからでしょう。

で、その方もプリウォーの響きに惹かれて買ったそうですけど、意外とギターのメンテナンスはテキトーなのか、軽い「元起き(ネックがボディとの付け根から上に曲がってくる)」になってしまったそうです。で、リペアに出して、ロングサドルを削って弦高調整をしたようですが、その時にトラスロッドで若干の逆反りを付けたのか、よく見ないと分かりませんけどネックが若干うねっています。軽い「元起き」なら首を引っこ抜いてのネックリセットまでしなくとも、アイロン(熱で元に戻す)で対応できるのではないかと尋ねると、そんなことを考えなきゃいけない今の状態が気に食わないということのようです。上のブリッジの画像を見ていただくと分かりますが、デフォルトのマーチンのエンドピンは白ですけど、これはマーチン謹製の「エボニー&パールドット」のピンです。気合を入れて買ったようですけど、それが数年で軽いとはいえ「元起き」を起こしてしまうという事に「バカヤロー!」気分だったのでしょう。で、手放そうと。気持ちは何となく分かりますけど…。

ですが、いくら破格のお値段とはいえ、ポケットマネーで買える額じゃないし、しかし、この機種にしては確かに安いし、「まあ、マーチンを1本持っていてもいいか」って感じで、結局はオカーチャンに「仕事の付き合いだから」とか言ってテキトーに説得して買ってしまいました。まあ、確かにプリウォーモデルという点には興味がありましたし、手にしてみてその「元起き」が私レベルでは殆ど気になるほどでもなく、12フレットの6弦に一円玉が二枚挟まりますので、弦高も2.8mm以下でしょう。演奏上、殆ど問題なし。しかし、コレクションとして考えると神経質な方(クリエイターだから…)はダメなのでしょうね。確かにマーチンの「元起き」はよく起きるようですし(真偽は分かりません)、リペアショップで首の抜かれたマーチンはよく見かけます。特に、これは酷いと思ったのは、ダブテイルジョイント(日本では蟻溝継ぎ:ありみぞつぎ)の調整に薄い木ではなく、紙を使っている個体があるとか…(WEBの画像で見たことあります)。大量に生産するが故の品質のバラツキか、職人気質の喪失か…。よくあることだとは思いますけど。

自分が持っているギターは皆古いモデルですけど、軽い「元起き」なら、けっこう普通です。全く大丈夫な個体もあります。まあ、弾くのに問題があるものはありません。結局、「ちょい訳アリ」の「HD28V」をかなりお安く手に入れられたのはラッキーでした。音的には確かに膨らみのある優しい、バランスの良いマーチンの音です。が、これが最高なんて音は存在しませんので、私のメインギターはその時々に変わります。カスタムライトのフォスファー弦を張って弾くと、高音部がとても艶やかで、低音部もそれほど出しゃばらない気持ちの良い音が広がります。

なんか、変な経緯で本サイトに登場したマーチンですが、プレイヤーズコンディションとしては全く問題のないギターで、ブルース好きな私が、これでスタンダードな曲を弾いてみようかと思っています。アコースティックギターの完成した形ともいえるプリウォーモデルはまさに「人の技」によって生み出されたギター。「木の音」と「人の技」。自分の所有するギターたちに「最後のワンピース」が嵌ったような気がします。変な表現ですけど。でも、このマーチンを弾くことはあまりないです。音がふくよか過ぎて…。

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