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S.ヤイリ SYD-120


ギターにはそれぞれの個体にそれぞれのサウンドがあります。メーカーと機種が同じであっても、全くと言えるほど違った趣の音を奏でる場合があります。中古の場合はそれまでのオーナーの取り扱いで変わるでしょう。ほったらかしていたのか、ギンギンに弾いていたのか、テキトーに弾いていたのか。新品の場合でも組みつけられたばかりのギターというのは「音の振動」にまだ慣れていないのか、そのギター本来の音ができるまでには少々時間がかかるでしょう。これがまさに「音を育てる」とか「音を作っていく」とか例えられる、タマゴッチ(古…)のようにギターを飼育(?)して、自分好みに仕上げていく楽しみなのでしょう。中古で買うときは、前オーナーが作ってきた音を聞くのがとても楽しみです。その場合、ボディーへの傷とかは音に影響がない限り気になりません。で、ある時、00や000が気に入って弾いていたのですが、ふとパーラーモデルがほしくなりました。別に00や000とそれほど違うとは思わないのですが、何となくそのスタイルが気になって。

S.ヤイリ SYD-120 パーラータイプと言えば、カナダのラリビー、ギブソンのブルースキングやLGなどが思い浮かびますが、本物を買うとなるとちょっとお高くて腰が引けます。国産でもK.ヤイリやクロサワのスタッフォードなどに良さげなモデルがあるのですが、こちらもそれなりにお高い。中古でも人気があるので値が下がらず、状態の良い個体であればけっこうな値段が付きます。で、ある日、ヤフオクでアコギを見ていたら、何やら面白げなモデルが。目が合ってしまったというか、かなり気に入ってしまいました。お値段はちょっと高目…。ちなみに、かつてはお茶の水などで楽器店を見て回るのが趣味(?)だったのですが、今ではインターネットであちこちのギターを見て回ったり、ヤフオクで色々なギターを見るのが趣味になっています。同じような楽しみを持っている方もけっこういるみたいで、まあ、「せどり(=転売)」などのビジネスでチェックしている人もいるのでしょうが。

S.ヤイリ SYD-120 で、先のモデルですが、スタート価格が自分が考えていた予算よりちょっとお高かったのですけど、競合が入ってきたら潔く諦めるかと入札したら、結果、そのまま私が取ってしまいました。その時はラッキーと思っていましたね。なかなか手に入りそうもない機種でしたし。その中古、表板にけっこう目立つ傷があるということで、向かって右下にガッと何かぶつけたか擦ったような跡がありました。こうした表板へのキズは敬遠されるようです。キズに敏感な人って多いですよね。まあ、見えますからね。バックの傷や白濁は気にしない人がけっこう多いように思います。まあ、私もそのキズが気にならないかと言えばそうでもないのですが、機種が新品の時のお値段を調べてみるとやはり10万オーバーの機種ですし、それなりのスペックを持っていましたので、キズが気になったら自分で直せばいいかと割り切っていました。少なくとも、割れや板がめくれているような、音に影響のあるキズには見えませんでした。画像では…。

狙ってたギターが事のほかスムーズに取れたので、ご対面を楽しみにして待っていたのですが、送られてきたギターを見て、二度、驚きました…。一つ目は、これは自分が悪いのですが、ギターのスペックは調べたものの、そのサイズまでは調べていなかったのです。テキトーな性格がイタタ…、です。そのギター、「S.ヤイリ SYD-120」という機種で、サイズ的には最長高&最長幅がほぼドレッドノート。パーラーギターを狙っていたので、ヒョウタン型のシルエットで勝手にそうだと思ってしまいました。原因は、ギターを正面やや上の方から撮ってあったので、下の部分が小さく映っていたのです。胴の上の部分が丸顔というか、ショルダー部のラウンドがけっこう丸みを帯びていたから、画像的には完全にパーラーモデルに見えてしまいました。これは自分が悪いので仕方がない…。

S.ヤイリ SYD-120 そして、もうひとつ驚いたというかショックだったことは、表板にあるキズが、打ったものでも擦ったものでもなく、何と「焼け焦げた痕」だったのです(このことは本サイト「とりあえず色々」の「始めてギターを買う時、選択の基準」に書きましたので、そちらもよろしければどうぞ)。これは傷ではありません。「破損」です。右下の表板が外側に波打つように反っていました。バインディングは黒く焦げ、そこに接着剤でハゲ隠し(後で自分で修理する時に分かりましたが瞬間接着剤…、最悪の処理)。だから、画像ではただの傷に見えました。焦げ痕を隠してあることを悪意であったとは思いたくないのですが、ストーブか何かの近くで気持ちよく弾いていて、こんがりとギターを焼いてしまったのでしょう。ちなみに、ギターをストーブなどでウッカリと焼いてしまうという事故、けっこうあるようです。WEBのブログで読んだ話ですが、マーチンをストーブで「ベークド・マーチン」にした人がいました。

これは「焼け焦げた痕」であることを告げていない出品者のルール違反です。が面倒くさいので、クレーム入れは止めました(ノークレーム・ノーリターンは瑕疵担保の放棄ということで法的には一応認められています)。若干反り返った表板は音に影響しない訳はありません。多少「気のせい」的なものがあったとしても、高音側の「音の立ち上がり」が鈍く、全体的に音のバランスが悪い。ガックリ。そのまま、部屋のオブジェにしてしまうか、焼けたところを切り取って「エレキ化」してやろうかと思いましたが、ここは全てを受け入れるとして、「直してみよう」と、ダメもとで焼け焦げたところを削り(けっこう深い焼け跡)、まず「反り返り」を直すために本の重みを利用して少しずつ整形していきました。削り痕の修正を、エポキシ樹脂か通常のラッカーでと思いましたが、ここは仕上がりを考えてニトロセルロースのラッカーを入手し(高い)、結局一か月以上かけて何とか「それなり」の状態に調整しました。ニトロセルロースの塗り重ね、やった事のある方はお判りでしょうが、時間がかかりますよね…。右上の画像は、焼け焦げ痕修復後のものです。表板右下の傷痕なんて殆ど分からないでしょ(自慢)。

で、気を取り直して「S.ヤイリ SYD-120」ですが、修理後は音も気持ち高音のアタックが強めになり、後は弾いて弾いて音を鍛えていくしかない。ということで、臨時メインギターとして毎日弾いていたら、これがまたけっこういい音を出してくれるじゃないですか。で、もう一度このギターの素性を改めて調べてみると、どうもS.ヤイリが2000年に某企業のもとで再度ブランドを立ち上げた時期に作ったギターのようです。で、これまたその陰には「寺田楽器製造」の存在。このギター、寺田楽器の持っているあのブランド"VG"の"VG-00"とほぼ同じような(全く同じといってもいい)スペックなのです。売り出し時の価格は"VG-00"より安い。サイド&バックは合板ですがハカランダらしく、ちょっと重い。しかし、キレのある音というより、意外と大人しくシットリとした音を出してくれます。寺田の音にしては上品(失礼)な趣です。焼け焦げ修復の効果か?

S.ヤイリ SYD-120 修復私が持っているギターの中では、一番上品な音を出してくれます。何というか、滑らかさを感じる音ですね。こういった音を狙って買ったギターではないのですが、怪我の功名といえばいいのか、けっこう気に入ってしまいました。焼け焦げ痕はほとんど気にならない(自慢したいくらいの)レベルまで、板のシルエットも修復(右の画像)しました。最初は戸惑った太めのネックも、慣れてしまえば逆に扱いやすい感じです。シェイプの良さでしょう。寺田楽器の音を一言でいえばギブソンなのですが、その中音域の艶のある音の趣はまさに寺田楽器の音であると思っています。マーチンのライセンシーとしてあのシグマを作っていた寺田楽器ですから、マーチンの音作りも熟知しているのでしょう。私、シグマギターも持っていますので、うちのギターは寺田楽器の音を奏でているのでしょうか、知らずのうちに…。しかし、このギターは冒頭で述べたように、「私が作り出した音」です。パーラータイプと見間違え、焼け焦げ修復というアクシデントを乗り越えて。結果オーライ。

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