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YAMAHA プロトL3…(?)


ヤマハ アコギ 学生時代に友人のギターを借りて弾いた時、無茶苦茶弾きにくいと感じたことがあります。そのギターはヤマハのFGだったと思うのですが、当時ナットやサドルを加工するなんて発想はなく、たいていギターの弦高は買った時の高いままです。3mm強なんてのは低い方で、4mm程度は当たり前であったと思います。測ることもなかったので感覚的にそれくらいはあったということです。ナットも高く、1~3フレットでも弦高は高くて、もうビギナーの卵の殻はお尻から取れそうな頃だったのですけど(多分)「ヤマハのギター=弾きにくい(ヤマハさん、失礼)」という印象を持ってしまいました。音にアタックが効いているのはいいのですが、全体に金属的というか、テンションの高すぎる音で、当時からフィンガーピッキング中心の私はどうもそれが好きになれませんでした。それよりもモーリスの甘い音が好きで、ギターコレクター気味の私ですがついにヤマハのアコースティックギターを買うことはありませんでした。しかし、ヤマハのエレキは好きで、SA2000などはES335とは違った趣の音(少し硬い)なのですけど、フェンダーのアンプ「ツインリバーブ(真空管製)」との組み合わせでは昇天しそうな音を聞かせてくれました。ですが、アコギの方は…。

ヤマハ アコギ で、これはオヤジになってからのことなのですが、ある時ヤフオクで出品されているギターを眺めていると、どうにも気になるギターが目につきました。ヤマハのギターにはあまり関心が無かったのでそれほど詳しくはありませんけど、ヤマハにはドレッドノートタイプのギターは基本的には無くて、一部の廉価版にウェスタンタイプという分類で、ドレッドノート風のギターはあったと思います。呼び名だけの問題かもしれませんが…。しかし、厳密に比べてみたことはありませんが、そのボディーのラインはやはり違うと思います(あくまで、私個人の持っているイメージ)。ヤマハにはヤマハのFGからLへと変貌する中にも独特のスタイルがあり、ドレッドノートとは趣が異なるボディーラインを持っているのがヤマハであると思っていました。しかし、そのギターは明らかにボディーがドレッドノートスタイルなのです。で、そのギターの内部、センターの割れ止めに「L-31B(?)」と読める文字が書き込まれ、出品者はヤマハ「L-31」のプロトタイプではという、以前にやはりヤフオクから購入した際の出品者の言葉に予感を覚え、手に入れたそうです。

ヤマハの「L-31」はFGの後継Lシリーズの高級機種で、そのプロトタイプとなると…、「エッ!」なのですが、どう見てもそうは見えません。「L-31」はヤマハのLシリーズを代表するようなスタイルを持ったギターです。サウンドホールに接触するネックの処理はアーチ形で似てはいるのですが、そのインレイのデザインから見ると「L-10」に似ています。が、「L-10」のネックのホール側は横一の断ち切りで、アーチ形ではありません。「LL-31B」という機種に似てはいますが、ボディシェイプが違います。こちらはジャンボスタイルで、ドレッドノートスタイルではありません。この「LL-31B」も高級機種で、トップには「赤エゾ松」が使われており、バックはニューハカランダの3ピースでお高いギターです。その、ヤフオクに「プロト(?)かも」として出品されているギターにはインレイなどの装飾は皆無です。ロゼッタも普通のシール。
ヤマハ アコギ
もうひとつ、これは日本ではほとんど流通していなかったのではないかと思いますが、台湾にあるヤマハの工場で「LW-15」という機種を作っていましたが、これはおそらく台湾の地元向けの普及版だと思います。このシリーズは短命であったようでその後「LW-25(?)」「LW-35(?)」と数バリエーションが出て、消えています。「LW-15C」というシングルカッタウェイのエレアコもあったようです。しかし、それ以上調べてみてもどのようなギターであったのか、ハッキリと分かりません。「LW-15」はボディシェイプがドレッドノートスタイル(ヤマハでのウエスタンスタイル)に見えますヤマハ アコギが、やはりヤマハのボディシェイプ(上部の幅がやや狭く、下部の丸みが強い)ではないかと思います。いかんせん、情報が少なすぎるので確かなことは言えません。ネックの形状と、トップのカラーがアーモンド(ナチュラルもあるみたい)であること、バック&サイドがマホガニー(パリサンドルと表記しているものもあったりして…、LW-25の間違いだと思いますけど)であることは「かなり似ている」といえるのですが、決定的な確信は持てません。まあ、「L-31B(?)」という記述自体も、ボールペンか何かで書かれたものらしくかすれていて、「B」の字が「E」とも「L」とも見えなくはない…。「L-31」という字は比較的はっきりと見えるのですが。

で、出品者も一度出品したとき、入札者の期待が高揚しすぎて値が上りすぎたため、途中でオークションを打ち切ったとか。今回はその辺のことを説明して、そうした「よく分からない」機種であることを納得した方だけ入札してくださいということを明記されていて、これは良心的な出品者だと思いました。事実、結局は私が落札することになったのですが、確かに好感の持てる出品者の方でした。「(謎の)00モデル」の中でも書きましたが、こうした「素性のよく分からない」ギターはそれほど珍しくもないのです。個人工房の試作品だったり、メーカー内部のプレゼンテーション用の「モック(形状見本)」だったり。ただ、楽器の場合は形状の見本だけではプレゼンテーションにはなりませんよね。音を作らないと。私の結論としては「メーカー内部のプレゼンテーション用試作」です。多分、ヤマハは主力商品を「FG」から「L」へとシフトしていく中で色々と試行錯誤されたでしょう。そうした社内での動きの中でこうしたプレゼンテーション用のモデルを作って、それが何かの事情で外部に流出することは十分あり得ます。

ヤマハ アコギ 実は私、そうした「素性の分からないギター」が好きなのです。「どんな音がするんだろう。どんな仕上がりになっているんだろう」と興味津々となってしまいます。実際、落札してから手元に届くまでワクワクしていました。で、ついに実物を目にした時、「これはやはり、台湾の『LW-15』か…」、と思い、再度アチコチ調べてみました。しかし、やはり、「LW-15」と断定するには違和感が…。確かにドレッドノートスタイルなのですが、「LW-15」のボディシェイプよりも「もろドレッドノートスタイル」です。全く、ヤマハらしくないボディに、ヤマハのロゴが入ったネックが付いています。しかも、確かにアーモンド系の色(?)なのですが、少々色が違う(ボヤけて薄い)のと、塗装にムラが見て取れるのです。更にはボディーのバインディングに沿ったシールの貼り付けが雑で歪んでいます。ロゼッタも、押し付けた際のプレス痕が深めに残って、しかもシールとズれています。つまり、市販品のレベルにはない「雑」な作りなのです。しかも、バックのマホガニーが(勘ですけど…)合板に思えません(トップはスプルースの単板でけっこう目の詰まった良い材です。シダーかも知れないと思わせる杢目なのですが…)。その理由は「音」です。何とも甘やかな音がするのです。もちろん合板でもそうした音を醸す個体はありますが、合板にしてはかなり軽いのです。内部の作りはシッカリとしています。ブレイシングはスキャロップドです。フィンガープレイで弾いていると甘く気持ちの良い音が響きます…。ただし、ストロークするとギブソン的なジャキッとしたサウンドになります。バック材がマホガニーだからでしょうか…。ギブソンほどの歯切れはありませんけど。

貼ってあるはずの「革ラベル」もないし、「L-31B(?)」らしき書き込み以外何の情報もありません。やはりこれは「ヤマハ社内のプレゼンテーション用」として組み立てられたものだとの結論が一番妥当だと思います。であれば「雑な装飾(一般市場に出せるレベルではない)」「内部はシッカリとした作り」「ラベルが無い」「手書きの記号(?)」「バックの材がLWの仕様である合板とは思えない」等に納得がいきます。ついでに言えば、ヤマハのトレードマークであの独特な形のピックガードが貼り付けられていません。まあ、これはカスタムなどや、特に購入者から希望があった場合はあり得ることです。とにかく、「雑」といっても、音に影響するものでは無し、フィンガーピッキングオンリーの私にとっては、非常に魅力ある「音」の個体です。とにかく「マホガニー」の持つ「甘やかな音」に興味を持ち始めていた私にとっては、文句のない一本です。色々と調べて、あれこれ推測する楽しさも味わえたし。こういうギターは面白い、です。

【追記】
トップの材が「シダーではないか」と書きましたが、材木のプロではないのですが、これはスプルースではなくシダーであると思います。という事は、トップがスプルースとカタログにある「LW-15」ではありません。何枚かのシダーの材を画像で見比べてそういう結論に至りました。ていうか、こんな木目のスプルース自体、見たことがありませんので。塗装は「カシュー塗装(カシューナッツの殻から絞り出した油が原料)」でしょう。ムラがありますが、しっとりとした感じの塗装です。サイド&バックはサテン塗装。材といい、仕上げといい、あまり見ない珍しい造りです。

それと、後になって気が付いたのですが、バック材はマホガニー(時代的にも質感的にもサペリではないと思います)でしょうが、その裏側の一部(ホールから見て左のショルダー部)に、非常に細かいのですが「チューブから押し出されたような透明の樹脂(?)の塊があります。これは合板の過程で接着剤が出たものとは考えにくい。潰れていませんから。となると合理的に考えられるのは、バックのサテンフィニッシュの塗装が木の導管を通って染み出したものでは。であればこれは単板でしょう。プレゼンモデルということでバック材の導管をキチンと埋めてなかったのでしょうか。やはり、不思議な個体です。

といろいろ観察して楽しんでいますが、とにかく「音」は文句なしの甘い優しい響きです。

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